2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト膀胱平滑筋のK_<ATP>チャネルの分子薬理学的研究と新規K_<ATP>開口薬の検索
Project/Area Number |
02J08992
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柚木 貴和 九州大学, 大学院・医学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 膀胱 / 平滑筋 / イオンチャネル / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
K_<ATP>チャネルは静止膜電位付近において比較的活性化されやすいK^+チャネルであり、その開口薬は膜過分極をもたらし平滑筋においては静止膜電位と静止筋緊張を安定化すると考えられ、泌尿器科領域においては過活動性膀胱への治療応用が期待されている。K_<ATP>チャネルはチャネルポアを形成する内向き整流性K^+チャネル(Kir)及びスルフォニルウレア受容体(SUR)という少なくとも2種類の蛋白によって構成され、このKirとSURにはそれぞれ数種類のサブタイプが存在し、それぞれのサブタイプの組み合わせがK_<ATP>チャネルの特性の決定に大きく関与していると考えられている。我々はより膀胱平滑筋に選択的なK_<ATP>チャネル開口薬の開発を目的としてヒト膀胱平滑筋K_<ATP>チャネルのKir, SURのサブタイプの同定を試みている。 単離ヒト膀胱平滑筋細胞のK_<ATP>チャネルの特性をパッチクランプ法を用いて検討したところ、細胞内ATP感受性や単一チャネルコンダクタンスが血管平滑筋K_<ATP>チャネルで報告されている特性とは明らかに異なっていた。血管平滑筋K_<ATP>チャネルでは主にKir6.1が発現していると考えられているが、我々が観察した膀胱平滑筋K_<ATP>チャネルは既報のKir6.2を有するK_<ATP>チャネルの特性と極めて類似していた。一方SURに選択性のあるチャネル開口薬を用い薬理作用を検討したところ血管平滑筋と同様にSUR2Bを有するK_<ATP>チャネルの特性と類似した傾向が観察された。 分子生物学的手法を用いて膀胱平滑筋K_<ATP>チャネルのKirサブタイプの発現を検討したところRT-PCR法によるmRNAレベル、ウェスタンブロット法を用いた蛋白レベルいずれにおいてもKir6.2サブタイプの発現が検出されたし今後SURサブタイプに関しても同様の検討を行う予定である。 膀胱平滑筋K_<ATP>チャネルを構成する蛋白が明らかとなれば、次には培養細胞に膀胱平滑筋型K_<ATP>チャネルを再構築しより膀胱平滑筋に選択的なK_<ATP>チャネル開口薬を検索することが可能となる。今後はアストラゼネカ社、Wyeth-Ayerst Research社との産学共同研究も進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Teramoto N, Tomoda T, Yunoki T, Brading AF, Ito Y.: "Modification of ATP-sensitive K^+ channels by proteolysis in smooth muscle cells from pig urethra"Life Sciences. 72(4-5). 475-485 (2002)