2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J09024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鐘ヶ江 賢二 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 弥生土器 / 発色技術 / 胎土分析 / 分光測色計 / 色調の計量的分析 |
Research Abstract |
本年度は、弥生土器の発色技術の文化的特質を明らかにする上で研究の基礎となる、胎土分析を軸に研究を進めた。そのため主に分析資料の収集と蛍光X線分析および岩石学的分析の実施に多くの時間を割き、新たな成果を得ることができた。論文投稿では、学術雑誌『人類史研究』において、福岡市域出土土器の分析結果を論文として発表する機会を得た。加えて報告書2つで論文が掲載される予定である。 学会発表では、昨年の日本考古学協会第68回総会において、弥生土器の色調変化から土器製作や使用に関わる社会的・文化的意義について検討する発表を行った。さらに日本文化財科学会では、長崎県原の辻遺跡やカラカミにおける、韓半島との土器交流を解釈する際での、胎土分析の有効性をポスターセッションで示した。 さらに国外での発表を行う機会も得ることができた。昨年9月の台湾での「インド・太平洋先史考古学会議」においては、対馬での胎土分析をテーマに発表を行い、先史時代の土器文化日韓交流において土器の発色や焼成技術の意義を示し、胎土分析が貢献できるところを述べるとともに、世界各地の考古学者と交流を深めることができた 科学研究費の用途としては、以上の調査研究を行うための備品や移動費のほかに、分析機材の購入に最も大きなウェートが占められた。すなわち本研究の独自性として、土器の色を分析するにあたり、色調をより客観的に把握するため、分光測色計を用いて計量的に分析することが挙げられるが、本年度の科学研究費補助金を用いて分光測色計(X-Rite社SP60)を購入することができ、現在それを用いて分析を進行中である。本年3月にその成果の一部を発表する予定である(「分光測色計を用いた土器の色調の計量的分析の意義」、人類史研究会第14回大会、2003年3月)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 鐘ヶ江賢二, 三辻利一, 上野禎一: "比恵・那珂遺跡群出土弥生土器の胎土分析-土器の生産と流通・製作技術の理解へむけて"人類史研究. 13号. 137-153 (2002)
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[Publications] 鐘ヶ江賢二, 三辻利一, 上野禎一: "大友遺跡出土土器の胎土分析"『大友遺跡』(九州大学人文科学研究院考古学研究室). (発表予定)(印刷中). (2003)
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[Publications] 鐘ヶ江賢二, 三辻利一: "西町遺跡出土韓半島系土器の胎土分析"『西町遺跡』(前原市文化財調査報告書). (発表予定)(印刷中). (2003)