2003 Fiscal Year Annual Research Report
SCDaseを用いたスフィンゴ脂質誘導体の構築と脂質マイクロドメインの機能の解明
Project/Area Number |
02J09099
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中川 哲人 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | スフィンゴ脂質セラミドN-デアシラーゼ / 蛍光標識スフィンゴ脂質 / 不飽和脂肪酸含有スフィンゴ脂質 / 脂質マイクロドメイン / 神経細胞 / アポトーシス |
Research Abstract |
SCDaseを用いて蛍光標識スフィンゴ脂質ライブラリーを構築した。蛍光標識GM1、スフィンゴミエリンおよびセラミドを合成した。前駆物質であるアミノスフィンゴ脂質については、ガラクトシルセラミド、グロボシド、スルファチドについても調製した。 SCDaseを用いて単一脂肪酸含有スフィンゴ脂質ライブラリーを構築した。GM1の脂肪酸部分をSCDaseを用いて酵素工学的に置換してパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、EPA、DHAを含有したGM1を合成した。 α-リノレン酸含有GM1が神経細胞にアポトーシスを誘導することを見い出し、このメカニズムについて脂質マイクロドメインの点から解析した。リゾGM1が溶血、SAPK/JNK経路の活性化、脂質マイクロドメイン構造の崩壊を引き起こすのに対して、α-リノレン酸含有GM1はこのような作用を示さずに脂質マイクロドメインの構造に変化を及ぼした。このことはリゾGM1は界面活性剤様の物理的ストレスで、一方のα-リノレン酸含有GM1は脂質マイクロドメインにおけるシグナル伝達の撹乱というよりマイルドな作用でアポトーシスを誘導することを示唆している。このように、単一脂肪酸含有スフィンゴ脂質は、脂質マイクロドメインの機能解析に大変有用である。 SCDaseを、ラット中性セラミダーゼの分泌シグナルとムチンボックスとの融合タンパク質、またはGPI-アンカー付加シグナルとの融合タンパク質として細胞に発現させた。これらのSCDaseが形質膜表面に特異的に発現すること、また、十分な活性を保持していることを確認した。また、GPI-アンカー型のSCDaseが脂質マイクロドメインに特異的に分布することを明らかとした。これらの形質膜表層発現型のSCDaseは、形質膜上および脂質マイクロドメイン上のスフィンゴ脂質の機能を解明するのに有用である。
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Research Products
(1 results)