2002 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分の抗アレルギー活性の評価系構築とその作用機構の解析
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02J09108
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤村 由紀 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | allergy / food / basophil / high affinity IgE receptor / catechin |
Research Abstract |
本研究は、食品成分が有するアレルギー症状の軽減化およびその予防効果に及ぼす影響を多面的に把握するため、アレルギーの発症に中心的な役割を担うヒト好塩基球と食品成分との分子間相互作用の解析手法を確立し、食品成分の細胞結合性と抗アレルギー活性との関連性ならびに作用機構の解析を行った。 ヒト好塩基球様細胞株KU812を用いて、高親和性IgE受容体(FcεRI)発現の抑制を抗アレルギー活性の指標として、食品中の抗アレルギー成分を検索した結果、緑茶中の主要カテキンであるエピガロカテキンガレート(EGCG)およびそのメチル化誘導体がFcεRI発現を抑制するとを見出した。また、これらを含めた茶カテキンと細胞との物理的相互作用を表面プラズモン共鳴バイオセンサーにより検討した結果、茶カテキンのFcεRI発現抑制活性の発現に標的細胞表面への結合が関与することを明らかにした。このような非標識の食品成分と生細胞間の物理的相互作用に関する報告はこれまでに例がなく、本手法は、簡便な食品成分の生体分子相互作用の分析や抗アレルギー活性との相関性解析に有効と思われる。 また、茶カテキンのFcεRI発現抑制は、受容体架橋により誘導されるヒスタミン放出を阻害し、FcεRI発現抑制を通じて抗アレルギー効果を発現する可能性を示した。さらに、茶カテキンのFcεRI発現低下作用がFcεRIの構成サブユニットであるαおよびγ鎖発現の転写レベルでの抑制に基づくことを明らかにした。また、免疫抑制作用が注目されている核内受容体の一種、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)のリガンドがFcεRI発現を抑制したことから、核内受容体PPARもFcεRI発現の抑制に関与する可能性を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 藤村 由紀: "緑茶ポリフェノールの抗アレルギー作用:ヒト好塩基球における高親和性IgE受容体発現の抑制"食品工業. 45(6). 25-30 (2002)
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[Publications] Y.Fujimura: "Suppressive effect of catechin derivatives on the expression of the high affinity IgE receptor FcεRI in human basophilic KU812 cells"Proceeding of 2001 ICOS, Session III. 1. 192-195 (2002)
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[Publications] Y.Fujimura: "Downregulation of high affinity IgE receptor FcεRI expression in the human basophilic KU812 cells by a tea catechin"Animal Cell Technology. 12. 365-370 (2002)
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[Publications] Y.Fujimura: "Peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR) ligands negatively regulate the expression of the high-affinity IgE receptor FcεRI in human basophilic KU812 cells"Biochemical and Biophysical Research Communications. 297(2). 193-201 (2002)
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[Publications] Y.Fujimura: "Antiallergic tea catechin, (-)-epigallocatechin-3-O-(3-O-methyl)-gallate, suppresses FcεRI expression in human basophilic KU812 cells"Journal of Agricultural and Food Chemistry. 50(20). 5729-5734 (2002)
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[Publications] 藤村由紀: "ヒト好塩基球における高親和性IgE受容体発現の制御"生物機能研究会誌. 6. 36-44 (2002)