2002 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物エンドグリコセラミダーゼの生物機能の解明と糖鎖工学への応用
Project/Area Number |
02J09136
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀端 康博 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | エンドグリコセラミダーゼ / スフィンゴ糖脂質 |
Research Abstract |
エンドグリコセラミダーゼ(EGCase)は、スフィンゴ糖脂質の糖鎖-セラミド間のグリコシド結合を加水分解する酵素で、糖脂質の構造と機能を解析する試薬として現在広く使用されている。この酵素は最初放線菌Rhodococcus sp.に見いだされた。その後、本酵素の活性は、ヒルやミミズにも見出されていたが、共棲する微生物由来の活性である可能性も否定できなかった。研究代表者はEGCaseが刺胞動物の仲間で特に強く発現していることを見いだしたのでユウレイクラゲ由来の新規EGCaseのcDNAクローニングを行い、EGCaseがセルラーゼファミリーAと同一の祖先遺伝子から進化した可能性を示した(Horibata, Y. et al. J. Biol. Chem. 275.31297-31304,2000)。本年度の研究では、クラゲと同じ刺胞動物であるヒドラをモデル動物に用いて無セキツイ動物におけるEGCaseの機能を調べた。ホモロジークローニングによってヒドラEGCase遺伝子を単離した結果、本酵素は放線菌、クラゲのEGCaseとアミノ酸レベルでそれぞれ19%、50%の相同性を示すことがわかった。ヒドラ抽出液あるいはヒドラEGCaseを発現したCHOP細胞のライセートを酵素液としてpH依存性を調べたところ、最大活性はpH3.0付近で見られた。ヒドラEGCaseはN-グリコシド型の糖タンパク質で、分子量は57kDaであることが抗ヒドラEGCase抗体を用いたウエスタンブロッティングによって明らかになった。In situ hybridizationを行ったところ、本遺伝子は触手と足柄部の内肺葉で強く発現していることが明らかになった。ヒドラにエサであるブラインシュリンプを与えると本酵素が一過的に培地に放出された。またブラインシュリンプの糖脂質はヒドラEGCaseによって分解されることが確認された。これらの結果から、ヒドラEGCaseはエサ由来の糖脂質を代謝する消化酵素のひとつであることが示唆された。
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