2003 Fiscal Year Annual Research Report
大口径電子サイクロトロン共鳴プラズマ中の電子温度制御
Project/Area Number |
02J09192
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
板垣 奈穂 九州大学, 総合理工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | ECRプラズマ / 電子温度制 / パワー吸収 / マイクロ波 / 微結晶シリコン薄膜 / プラズマプロセス / シランプラズマ |
Research Abstract |
1.低電子温度ECRプラズマの生成機構 電磁波動測定および波動解析コードTASK/WFを用いたパワー吸収の計算結果から、ECRプラズマ中の電子温度は電磁波のパワー吸収分布に依存しており、パワー吸収が集中して生じているとき電子温度は高く、その分布が広がりを持っているとき電子温度は低くなる傾向にあることが分かった。従って、ECRポイントでの磁場勾配やマイクロ波周波数等により実効的な共鳴幅を変化させることによってもパワー吸収分布が変化し、電子温度が制御されることが考えられる。次に異なる共鳴幅におけるプラズマパラメータ及び電磁波動測定を行ったところ、磁場勾配およびマイクロ波周波数の違いによるパワー吸収分布の変化が確認され、またそれに伴う電子温度の変化が観測された。以前から2.45GHzよりも低い周波数の電磁波で生成されたECRプラズマ源では電子温度が低く、高エネルギーの電子成分が少ないことが報告されていたが、本研究で初めて電磁波の低周波数化による低電子温度プラズマの生成機構が明らかにされた。 2.SiH_4/H_2ECRプラズマにおける電子温度制御およびSi系薄膜の作製 1の結果をもとに、Si系薄膜の作製に用いられるSiH_4/H_2プラズマにおける電子温度制御を試みたところ、電子温度は3eVから8eVまで制御可能であることが分かった。またイオン飽和電流空間分布の測定結果から、SiH_4/H_2ECRプラズマにおける電子温度の変化も電磁波のパワー吸収分布の違いに起因していることが確認された。 次に、電子温度の異なる条件下で実際に微結晶シリコン薄膜の製膜実験を行い、電子温度と結晶性の関係を調べた。結果、比較的電子温度が高い領域で結晶性の向上がみられ、結晶性は電子温度が低いときの方が良いとされている過去の報告とは逆の傾向を示していた。また、これまで高い圧力領域下で結晶性の良い微結晶シリコン薄膜が製膜されたという報告が大半であったが、本研究においてECRプラズマCVD法により低い圧力領域下で結晶性の良い微結晶シリコン薄膜を得ることができた
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[Publications] 板垣 奈穂: "Electron-temperature dependence of nitrogen dissociation in 915 MHz ECR plasma"Thin Solid Films. Vol.435. 253-259 (2003)
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[Publications] 板垣 奈穂: "Relationship between the electron temperature and the power absorption profile in ECR plasma"16th Int.Symposium on Plasma Chemistry. (CD-ROM). (2003)
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[Publications] 板垣 奈穂: "Control of the electron temperature by varying the resonance zone width in ECR plasma"Thin Solid Films. (in press). (2004)