2004 Fiscal Year Annual Research Report
光親和性ラベル化後修飾法を用いた糖質センサーの開発
Project/Area Number |
02J09239
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笠置 典之 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タンパク質 / 分子認識 / 蛍光性バイオセンサー / カーボニックアンヒドラーゼ / アフィニティーラベル化後修飾 |
Research Abstract |
3次元的に折り畳まれた状態でのタンパク質は、複数のアミノ酸が反応性の官能基として表面に存在している。そのため、タンパク質表面の特定のアミノ酸残基を位置および官能基選択的に区別し、かつ、タンパク質同士の表面接触に打ち勝って特定のタンパク質表面を化学変換することは困難である。さらに、タンパク質が機能を発現する場は、従来の有機化学が苦手とする水中であるため、既存の有機化学的アプローチが通用しない場合も多い。よって、タンパク質を有機化学の対象として化学変換するには、タンパク質に適した新たな戦略が必要とされる。このような観点から、筆者は、ペプチド、タンパク質表面を標的とした新しい有機化学的な手法の開発を目指した検討を行った。カーボニックアンヒドラーゼ(hCA II)の阻害剤の分子認識とタンパク質表面での新しい有機化学反応を利用し、ワンポット連続反応によってhCA II表面に蛍光色素を高収率で導入できることを示した。タンパク質表面とのラベル化反応には、エポキシ基とイミダゾール環との特異的な求核反応を利用し、蛍光色素修飾反応には、ヒドラゾン/オキシム交換反応を用いた。これらの連続反応により、hCA II本来の機能を保持したまま、蛍光性バイオセンサーへと変換することに成功した。本手法は、システインを有するタンパク質にも適用可能であることが実証された。これによって、これまでに報告されてきた光アフィニティーラベル化後修飾法(P-PALM法)を拡張した新たな戦略を提案することに成功した。
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