2003 Fiscal Year Annual Research Report
ジアリールエテン分子結晶のフォトクロミック反応に関する研究
Project/Area Number |
02J09247
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 勝則 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトクロミズム / ジアリールエテン / 有機結晶 / 固体NMR |
Research Abstract |
新規分子結晶デバイス材料としてのジアリールエテン結晶のフォトクロミック反応挙動および反応機構を明らかにするために、昨年度の研究では、単結晶状態において高い転換率でフォトクロミック反応を示す新規ジアリールエテン分子の合成とその評価を行った。本年度は、その分子を用いて結晶中でのフォトクロミック反応による分子構造変化について固体NMRの測定を行い、その反応挙動について検討した。 昨年度、新規に合成した結晶状態で高い転換率を示すジアリールエテンの結晶を作成し、そのフォトクロミック反応挙動について固体NMRの測定を行った。微結晶状態(無色体)の試料に光(紫外光)を照射により生成する構造異性体(着色体)に由来したピークが固体NMRにより観測された。光照射により生じた着色体の反応部位炭素に由来したピークが2つ観測された。この一方の化学シフト値は着色体のみをHPLCで分離して作成した結晶の固体NMRから得られた値(71ppm)と一致しており、もう一方はわずかに低磁場にシフト(73ppm)していた。このことは結晶中に環境の異なる2つの着色体の存在を示している。この2つのピーク強度は時間が経過により変化し、73ppmのピークは減少し71ppmが増加した。73ppmのピークは無色体結晶中に光生成した着色体構造に由来しており、この構造が不安定であるため着色体結晶中でとりうるような安定な構造へ緩和するため71ppmのピークが増加したと考えられる。現在このピーク変化の挙動が実際に結晶中での着色体の分子構造の違いを反映したものかどうか検討中である。 今後もさらに固体NMRの測定を行い、結晶中でのフォトクロミック反応挙動について詳細な検討を行う予定である。
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