2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J09261
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田谷 修一郎 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | depth perception / apparent size / stereopsis / slant / adaptation / aftereffect / illusion |
Research Abstract |
1.立体刺激の面の傾きが刺激の見かけの大きさに及ぼす影響について検討した.視覚系が立体刺激の大きさを見積もる際にとり得る方略のひとつとして,刺激の接平面が前額並行面に対して垂直になる点を輪郭面とし,輪郭面間の大きさを刺激の大きさとするというものが考えられる.視覚系による奥行き面の傾き知覚は精度が粗いため,この仮説が正しければ,刺激面の傾きが垂直に近いときは物理的な輪郭よりも内側の点が輪郭と知覚され,刺激の大きさが過少視されることが予測される.ランダムドットステレオグラムで描いた立体刺激の面の傾きを5段階に操作し,刺激の見かけの大きさを比較したところ,面の傾きが急峻な刺激ほど大きさが小さく知覚されることが示された.この結果は仮説を支持する(Taya & Miura 2004 Japanese Journal of Psychonomic Science,23,111-112.). 2.立体刺激の面の傾きを符号化する機構の時空間特性を順応-残効パラダイムを用いて検討した.順応刺激とテスト刺激の呈示位置が等しい条件(overlap条件)と,異なる条件(separate条件)の2条件間で観察される奥行残効の大きさを比較した.刺激は,垂直軸回りに傾いたランダムドット平面で,視野の中心と周辺,または視野の上と下に0.5〜20°の間隔をあけて呈示された.観察者は順応刺激を2分間注視した後に,テスト刺激が前額平行面に見えるようにその傾きを調節した.結果は,separate条件でもoverlap条件と同程度かやや穏やかな奥行残効が生じることを示した.この結果は,従来のモデルが示す局所的な網膜像差処理機構よりも高次の大域的な傾き処理機構が奥行順応に関与することを示す(Taya et al. 2005 Vision Research, in press).
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Research Products
(3 results)