2004 Fiscal Year Annual Research Report
植食性ゾウムシ類の系統分類と奇主植物との共進化に関する研究
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02J09292
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉武 啓 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 昆虫網 / コウチュウ目 / ゾウムシ上科 / ゾウムシ科 / 系統 / 分類 / 奇主植物 / 共進化 |
Research Abstract |
1.サンプリングおよび野外調査 DNA解析用標本の補完的収集を目的として,各国の研究者の協力の下,ドイツおよびスイス,ポーランドにおいて野外調査を実施し,サルゾウムシ亜科甲虫37種のサンプリングに成功した. 2.欧州の博物館における標本調査 2004年6月23日から7月2日にかけてドイツのドレスデン博物館を訪問し,主としてユーラシア大陸産のサルゾウムシ類を対象としたタイプ標本調査を行った結果,新たに東南アジアから30未記載種の存在が確認されると共に,従来同定が困難であった北東アジア産22種の種名が確定された。 3.研究結果の公表 ミトコンドリア16SrDNA遺伝子の塩基配列に基づきPhytobiini族内の系統関係を再構築した上で,同族内における寄主利用の進化傾向について考察を行い,欧州ゾウムシ学会第4回大会(Jagiellonian University, Poland)において口頭発表した。その他,日本産種の形態分類に関する2論文を投稿し,受理された。 4.系統解析 対象分類群内の多様性を代表すると考えられる50種を材料として選択した.ミトコンドリア16SrDNA遺伝子について約1000塩基の配列を決定し,最大節約法を用いて解析を行った.結果として,得られた系統仮説と現行の分類体系との不整合が少なからず見られる他,サルゾウムシ亜科内の寄主利用の進化には木本植物(森林性)→草本植物(草地性)という大きな傾向があり,その中で陸生草本から水生草本を利用するようになった分類群、二次的に木本植物を利用するようになった分類群,さらにそこから草本食に戻った分類群が存在することが示唆された.また,近縁なゾウムシ群は近縁な植物群を寄主利用することが多いが,時に系統的にかけ離れた植物を利用していることがあり,その場合,植物の属性(生息環境や食害部位の質など)が類似しているという傾向が認められた。
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Research Products
(2 results)