2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J09327
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川野 圭子 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 静穏時地磁気日変化 / 大気潮汐 / 下部熱圏 |
Research Abstract |
九州大学中層大気大循環モデル(Kyushu-GCM)中の中性風データを用いて、2次元モデルによる電離層Sq電流系の数値シミュレーションおよびその結果の解析を行った。それによりSq電流系の変動と下部熱圏における中性風変動との間に以下のような関係があることが示された。 1.季節変動について シミュレートされたSq電流系は (1)equinoxでは南北半球でほぼ対称な電流系 (2)solsticeにおいて夏半球での電流が冬半球に比べて相対的に大きい値をもつ (3)このとき、夏半球の電流はequinoxに比べてそれほど大きくはないが冬半球ではequinoxでの値よりも非常に小さい という、solsticeでの南北非対称性を伴う季節変化をしていた。この結果はTakeda(1999)と一致する。シミュレーションに用いた電気伝導度は赤道に対して南北対称な成分のみであったため、シミュレーション結果に見られるSq電流系の季節変化は中性風の季節変化に伴うものであると考えられる。 2.UTによる変化について 3月・9月のequinoxにおけるSq電流系のUTによる変化を調べた。9月の結果にみられたUT変化は主に地理軸と地磁気軸が一致しないことに由来するものであると推定されたが、3月の結果にはそれに類似した変化が見られなかった。このことから、3月のUT変化には経度依存性をもつnon-migrating tideが寄与している可能性が示唆された。 また、3次元Sqモデルの開発に本格的に取り組んでいる。3次元2階編微分方程式を解くプログラムの開発を中心に、境界条件の検討や電気伝導度と地磁気主磁場、中性風による電離層ダイナモ電場の計算等を行っており、3次元モデルの完成までもうあと一歩のところまできている。今後は3次元モデルによるシミュレーションを行い、中性大気運動がSq変動に及ぼす具体的なメカニズムの詳細を明らかにしていく計画である。
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