2004 Fiscal Year Annual Research Report
病原体系統と寄主植物抵抗品種の共進化動態の解析:対抗進化を許さない防除は可能か?
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02J09346
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大槻 亜紀子 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | gene-for-gene system / マルチライン / coevolution / virulence |
Research Abstract |
前年度に引き続き、イネ・コムギなどの栽培植物に対する赤さび病菌・いもち病菌などの病原性菌の進化動態と個体群動態を数理モデルと計算機シミュレーションで解析し、病原体の急速な進化を見越した防除政策について研究を行った。 抵抗性品種に感染できる病原性系統は、エリシター分子の発現を停止するノックダウン変異体である。このようなホストと病原体の遺伝子の特異的対応関係はgene-for-gene systemと呼ばれている。本研究ではこのgene-for-gene systemにもとづいて、様々な抵抗性品種に病原性を示す多重病原性病原体(スーパーレース)の出現を阻止し、収量を最大にするようなホスト植物の作付方法について解析を行った。 1遺伝子座のGFGシステムを用いたこれまでのモデルとその解析により、抵抗性品種の最適導入割合が存在することがわかっている。これまでの結果をふまえて、本年度では2遺伝子座モデルを解析し、抵抗性品種の導入割合と病原体の進入条件について詳しく調べた。 2遺伝子座のGFGシステムでは、ホスト植物、病原体ともに4つの遺伝子型を持つ。そこで、これら4つの病原体がどのような順序で流行を起こすかを解析的に調べた。その結果、流行順序は病原体の初期密度と感染可能なホストレンジに関係していることがわかった。また、収量(未感染ホスト0)密度)を最大にするような抵抗性品種の割合についても調べたところ、1遺伝子座GFGシステムと同様、感受性品種と抵抗性品種の最適配合率が存在することがわかった。2遺伝子座のシステムではこのほかに複数の抵抗性品種同士を組み合わせて混植することも最適戦略となることがわかった。これらの結果は、現在Journal of Theoretical Biologyに投稿中の論文に掲載している。
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Research Products
(1 results)