2002 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル情報システムネットワークが日本企業の国際経営に与える影響
Project/Area Number |
02J09371
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤原 由紀子 神戸大学, 経営学部・経営学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 情報技術 / 日本的経営 / 日本的生産システム / 海外移転 / 公式化 / 国際経営学 |
Research Abstract |
日本企業の経営システムは公式化が難しく、個々人に内在化している。そのため労働の流動性の高い海外に日本的システムを移転するためには、多数の日本人を派遣する。これが日本企業の国際経営の特徴である。デンソー・テネシー工場の情報システムの仕組みに組み込むことにより、生産管理業務を日本人から現地人に移管している。 同工場の生産管理業務では、1988年の設立当初から、グローバル情報システム(CIGMA)が使用されている。親会社への部品発注は、発注数量の決定に日本側の生産事情に精通している必要があること、頻繁に実施される親会社との調整には日本側の生産事情への精通だけでなく日本語も必要とされたことから、CIGMAを使用しても日本人出向者にしか実施できない業務だった。1991年、CIGMAは業務量が当初の数10倍に達したことを機に改善された。その目的は、大幅な業務効率の向上と日本人出向者にしか実施できない業務の現地人化である。業務の現地人化は、親会社への部品発注業務を判断や調整も含めて標準化しシステム化することで実現した。具体的には、(1)発注や発注内容を変更する際に、日本側と調整を行わなてても済むように、部品1点1点について、発注品質を左右する基準在庫率、リードタイム、1回の生産数量や、発注後年変更可能な変動率を決定し、データベース化する、(2)CIGMAで日本側の生産対応計画や船積み状況を調べられるようにするの2点である。つまり、同事例では、不可能と見なされていた日本的生産システムを公式化したこと、日本的生産システムを体現した日本人が業務を実施するのに代わり、日本的生産システムを組み込んだ情報技術を使って、海外拠点へ日本的生産システムを移転したことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)