2002 Fiscal Year Annual Research Report
在日ラオス定住者のエスニックネットワークとエスニックアイデンティティに関する研究
Project/Area Number |
02J09375
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺尾 美紀 (乾 美紀) 神戸大学, 国際協力研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ニューカマー / ラオス / エスニックネットワーク |
Research Abstract |
本年度は主に、先行研究の整理や文献の収集に重きを置いた。資料収集としては、在日ラオス定住者を含むインドシナ難民の定住状況(兵庫県姫路市・神奈川県大和市)や、エスニックネットワーク、2世の子どもたちの教育に関する文献に重点を置き、それらをもとに先行研究の整理を行った。その結果、一般にインドシナ難民の中でもラオス系住民は、ベトナム系住民と比較すると、教育に対する意識が低く、学校や社会への適応に時間がかかり、学習の達成度も低い傾向があることが明らかになった。 その原因を明らかにするために、兵庫県姫路市の在日ラオス系住民及び彼らの定住に関わった人々を調査対像とし、「定住に関する問題」や「2世の子どもたちの教育」に関してインタビュー調査を行った。特に、学業達成度の低さについて焦点を置きインタビューを行ったところ、ラオス系住民の子どもたちは、数が少ないゆえに、定住時からこれまで学校から適当な援助(日本語指導)を受けていないことが分かった(一方、ベトナム系住民の子どもたちは日本語教室、補習教室などのサポートを受けていた)。そのことが学業不振や学校への不適応の原因のひとつであると考えられた。 これらの結果は、2002年9月に開催された第54回日本教育社会学会(広島大学)において、「在日ラオス系住民の定住と教育に関する研究」という題目で研究発表を行っている。また、2002年12月に行われた多文化教育研究会兵庫県在日外国人教育研究協議会主催)において「在日ラオス系定住者の教育に関する一考察-兵庫県姫路市周辺を事例として-」という題目で発表を行った。 ラオスにおけるフィールドワークとしては、2003年2月にビエンチャンの国連開発計画(UNDP)、世界銀行、ラオス国立大学で資料収集を行った。しかしエスニックネットワークやアイデンティティについては、資料がほとんど存在しなかったため、来年度はアメリカなど、エスニシティやニューカマーの研究資料が豊富な国において資料収集を進めることを計画している。
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Research Products
(1 results)