2004 Fiscal Year Annual Research Report
在日ラオス定住者のエスニックネットワークとエスニックアイデンティティに関する研究
Project/Area Number |
02J09375
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺尾 美紀 (乾 美紀) 大阪大学, 人間科学研究科, 助手
|
Keywords | 在日ラオス系住民 / 教育問題 |
Research Abstract |
今年度は主にインタビュー調査のまとめに重点をおいた。これまで兵庫県姫路市や神奈川県大和市周辺で、元難民である在日ラオス人に対するインタビュー調査を行ってきたが、これまでの調査では、調査対象の人数が十分でなかったため、今年度はその補足に努めた。具体的には、両県のラオス人集住地域に月1回程度足を運び、コミュニティーが行う宗教的行事、正月の集まり、学校のイベントに参加した。その上で、在日ラオス人第一世代(大人)および第二世代(子ども)に、日本における適応問題や教育問題そしてエスニックネットワークのつながりについてインタビューを行った。その合計の人数は、両県を合計すると70名である(第一世代各20名、第一世代各15名) 調査の主な結果は、在日ラオス系住民の子弟のほとんどが学業を継続できていない状態であり、特に高校への進学率は低いことが分かった(神奈川県では約20%、兵庫県では約15%である)。この状況を米国のラオス系難民と比較すると非常に低い数字であることも判明した。大まかに言えば、日本の元難民の子弟たちは、中学校で教育を終え、十分な技術を取得しないまま工場などで単純作業に従事している。日本の学校や社会に適応できず、窃盗や麻薬常用などの犯罪を犯すものも増加している。 なお研究の結果は、名古屋大学で開催された日本比較教育学会において、「ニューカマーの進学問題に関する日米比較研究の試み-在米ラオス系住民と在日ラオス系住民を事例として-」というタイトルで発表した。
|
Research Products
(1 results)