2002 Fiscal Year Annual Research Report
粗視化タンパク質モデルを用いたタンパク質の折り畳み・構造・機能の研究
Project/Area Number |
02J09437
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
千見寺 浄慈 神戸大学, 理学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | タンパク質立体構造 / 粗視化モデル / フラグメントアセンブリ法 / 詳細つりあいの条件 / マルチカノニカル |
Research Abstract |
タンパク質が機能を果たす為には、タンパク質ごとに決まった構造に折り畳むことが必須である。立体構造はタンパク質を構成するアミノ酸配列情報にコードされていることから、種々の生物種のゲノムが明らかになりつつある今日、その塩基配列から本当に有益な情報を引き出すためには、その配列がコードしているタンパク質の立体構造、機能を知ることが不可欠である。このような背景において、今年度はアミノ酸配列の情報のみからタンパク質立体構造を予測する、いわゆるab initio立体構造予測に取り組んできた。具体的には高田らによって構築されてきた粗視化タンパク質モデルを用いて、構造探索法として新しいフラグメントアセンブリ法を開発し、その予測能力の評価を行った。従来のフラグメントアセンブリ法は詳細つりあいの条件を満たさないため、シミュレーテッドアニーリングしか出来ず、構造探索が非効率であった。そこで我々はまず、フラグメントアセンブリ法を詳細つりあいが満たされるよう改良し、さらにそれを優れた構造サンプリング法として知られているマルチカノニカル法に適用した。その結果、従来の方法よりもはるかに効率良く低エネルギー構造状態を探索できることが明らかとなった。また、この新しい手法を用いて、二年に一度世界規模で行われているタンパク質の立体構造予測コンテスト(CASP)に参加した。結果、新規フォールド部門で1つ正解し、その他の問題に対しても、部分構造が良い一致を示すなどして、比較的上位にランクされ、国内の新規フォールド部門に参加した中では一位であった。これは、我々のアプローチが正しい方向に向かっていることを示していると思われる。
|