2004 Fiscal Year Annual Research Report
粗視化タンパク質モデルを用いたタンパク質の折り畳み・構造・機能の研究
Project/Area Number |
02J09437
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
千見寺 浄慈 神戸大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質 / 立体構造予測 / フラグメントアセンブリ法 / エネルギーランドスケープ / ファネル理論 / 局所構造 |
Research Abstract |
タンパク質が機能を果たす為には、タンパク質ごとに決まった構造に折り畳むことが必須である。立体構造はタンパク質を構成するアミノ酸配列情報にコードされていることから、種々の生物種のゲノムが明らかになりつつある今日、その塩基配列から本当に有益な情報を引き出すためには、その配列がコードしているタンパク質の立体構造、機能を知ることが不可欠である。このような背景において、昨年度に引き続きアミノ酸配列の情報のみからタンパク質立体構造を予測する、いわゆるDe Novo立体構造予測に取り組んできた。特に力を入れたのは、De Novo立体構造予測法において現時点で最も成功を収めている方法論であるフラグメント法が、なぜうまくいくのかを明らかにし、その見知を用いてより精度の良い立体構造予測法の構築や、タンパク質の立体構造構築原理を理解することを目指した。具体的にはまず、昨年度、我々が開発したリバーシブルフラグメントアセンブリ法を用いて、タンパク質のとりうるであろう構造空間を徹底的にしらべた。その結果、コンパクトな構造は極僅かしかなく、その僅かなコンパクト構造のなかに天然構造が存在していることがわかった。このことは、フラグメントアセンブリ法ではタンパク質の局所構造を適切に表現できていると考えられるから、タンパク質の局所構造にバイアスが存在する為に、とりうるコンパクトな構造は非常に制限されており極僅かしかないということがわかる。また、このことからなぜ本物のタンパク質のエネルギーランドスケープはファネル状になっているのかということも、局所的相互作用の観点から、局所構造の制限によって間違ったフォールドが禁止され、エネルギーランドスケープが滑らかになっているからであると理解される。
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