2003 Fiscal Year Annual Research Report
微生物菌体触媒による廃油からの環境調和型バイオディーゼル燃料生産プロセスの開発
Project/Area Number |
02J09449
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
海江田 優 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Rhizopus oryzae / リパーゼ / バイオディーゼル / メタノリシス |
Research Abstract |
固定化菌体触媒の大量調整を行うため、糸状菌Rhizopus oryzaeのエアリフト型バイオリアクターによる微生物保持粒子への固定化培養を行った。その結果、フラスコ培養と比較して、半分以下の培養時間で同程度の固定化菌体重量(約7mg/BSP)とメタノリシス活性を持つ固定化菌体が得られた。通気攪拌が糸状菌の増殖に好影響を与え、増殖と連動してリパーゼの生産量も増大したためと考えられる。また、エアリフト培養菌体はバッチ反応における繰り返し利用に対しても、フラスコ培養菌体より高い耐性を示した。これは培養時間の短縮により細胞膜の不飽和化が抑制され、その結果メタノールやメチルエステルのようなリパーゼ失活を引き起こす物質の透過性が下がったためと示唆された。Packed bed reactorでは反応混合液であるトリグリセリドと水が分離しうまくいかなかったため、バッチ反応での繰り返し反応を検討した。繰り返し初期は80%以上のメチルエステル含有率を達成したが、20回以上の繰り返しにより60%程度に減少した。反応液を分析したところ、繰り返し回数が増加するほど、2-モノグリセリドの蓄積が顕著となることが明らかとなった。しかし、2-モノグリセリドは1-モノグリセリドに熱エネルギーによって異性化することが知られている。この異性化速度は繰り返し回数には影響されないはずであるから、リパーゼがその異性化を触媒し、徐々にその触媒能が減少していったと考えられる。その結果、2-モノグリセリドが蓄積し、メチルエステル含有率の減少の一因になったと推察された。さらに高いメチルエステル含有率を得るため、過剰量のメタノールを添加した二段階反応を検討した。この場合、15回以上に渡り80%以上のメチルエステル含有率を達成した繰り返し反応が可能であり、バイオディーゼル燃料生産に極めて有効であると期待される。
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