2002 Fiscal Year Annual Research Report
原生生物太陽虫細胞質内におけるカルシウム依存性収縮系の解析
Project/Area Number |
02J09544
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
有川 幹彦 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原生動物 / 太陽虫 / 細胞質 / 核 / カルシウム / 収縮 |
Research Abstract |
1)細胞質の収縮運動 原生生物太陽虫の示す軸足収縮運動は、既知の分子機構では説明できない特異な細胞運動である。電子顕微鏡による観察の結果、軸足収縮運動の際にcontractile tubulesと呼ばれる繊維構造が形態変化することが分かっている。しかしながら、contractile tubulesと軸足収縮運動とを結び付ける直接的な証拠はまだ得られていない。そこで本研究では、近縁な2種の太陽虫を用いて、軸足および細胞体のセルモデルをそれぞれ作成し、カルシウムに対する反応について検討した。その結果、contractile tubulesの形態変化が細胞質の収縮運動の原動力になっていることが、光学顕微鏡および電子顕微鏡による観察によって明らかになった。細胞質の収縮運動はATPを必要とせず、カルシウムの添加-除去によって繰り返し何度も生じさせることができたことから、カルシウム依存性であることが確かめられた。さらに、カルシウムの添加に伴うcontractile tubulesの形態変化をin vitroで観察することができた。また、細胞破砕液にカルシウムを加えることによって得られた沈殿物がカルシウム依存性の収縮性を示したことから、細胞質の収縮運動を沈殿物の収縮という形でin vitroで再現することができた。 2)核の収縮運動 いくつかの原生生物の核に収縮性があることを見い出した。そこで、核の単離法および脱膜法が確立されている繊毛虫ユープロテスを材料とし、核の収縮性について検討した。その結果、細胞周期に関係なく、核内にカルシウム依存性の収縮機構が存在することが明らかになった。このような核の収縮性は複数種の細胞において観察されたごとから、真核生物に普遍的な特徴である可能性が示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mikihiko Arikawa: "Reactivation of Ca^<2+>-dependent Cytoplasmic Contraction in Permeabilized Cell Models of the Heliozoon Echinosphaerium akamae"Cell Motility and the Cytoskeleton. 54. 267 (2002)
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[Publications] Mikihiko Arikawa: "Ca^<2+>-dependent cytoplasmic contractility of the heliozoon Actinophrys sol"European Journal of Protistology. 38. 365 (2002)