2003 Fiscal Year Annual Research Report
誤差フィードバックに基づく多次元ディジタルフィルタの丸め雑音低減化
Project/Area Number |
02J09578
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中本 昌由 広島大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 多次元ディジタルフィルター / 丸め雑音 / 誤差フィードバック / 遺伝的アルゴリズム / 組合せ最適化 / 雑音低減化 / 分枝限定法 / 有限語長 |
Research Abstract |
本年度は、分母分離形2次元ディジタルフィルタに対して、フィルタの構造(フィードバックループとフィードフォワードループの順序)に着目した誤差フィードバック(FB)構成について検討し、その成果を国際会議で発表した.また、一般形2次元ディジタルフィルタについても、遺伝的アルゴリズムによって係数集合の組合せを最適化する方法を提案し、ディジタル信号処理シンポジウムにおいて発表した. 次に、特定の係数が非乗算値(0、±1)となるような2次元誤差FB回路の簡易的な設計法を提案し、平成15年度電気・情報関連学会第中国支部54回連合大会にて発表した。この回路の厳密解を得るための設計法も考案しており、来年度の研究会で発表を予定している。 さらに、誤差FB回路を組込むためのディジタルフィルタを、数値実験の対象として自由に設計、使用できる環境を構築することも研究課題を遂行していく上で必要不可欠であるので、昨年度後半から(誤差FBを組込む対象の)ディジタルフィルタ本体の設計にも着手している.これらのディジタルフィルタを使用して、来年度の計画である「どのフィルタ構造に対してどの誤差FB回路が有効か」を検討していく予定である。なお、より現実性かつ実用性を考慮して、フィルタは有限語長で設計している。 一方、3次元ディジタルフィルタを対象とした3次元誤差FB回路の検討にも着手しているが、昨年度使用していた計算機では、必要とするメモリ容量が不足がちであり、また膨大な計算時間を要するため、より高速で大きなメモリを搭載した計算機を新たに導入して実験を行っている.これらの研究は現在も継続中である。 また、新たに「緩和問題による下界値の評価」を取り入れた分枝限定法を、誤差FB係数の離散設計問題に応用しており、優れた成果を挙げている。その成果は、来年度の軽井沢ワークショップで発表する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 雛元孝夫: "分母分離形3次元ディジタルフィルタにおける丸め誤差雑音の最小化"電子情報通信学会論文誌(A). Vol.J86-A No.6. 646-654 (2003)
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[Publications] Masayoshi NAKAMOTO: "A New Structure of Error Feedback in 2-D Separable-Denominator digital filters"The 2003 International Conference on Circuits/Systems Computers and Communications ITC-CSCC 2003. 1787-1790 (2003)
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[Publications] 中本昌由: "係数集合の組合せ最適化に基づく2次元誤差フィードバック回路の設計"第18回ディジタル信号処理シンポジウム講演論文集. C2-5(CD-ROM). (2003)
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[Publications] 中本昌由: "離散値係数を含む誤差フィードバック回路の簡易設計法"平成15年度電気・情報関連学会第中国支部54回連合大会講演論文集. 407-408 (2003)
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[Publications] 雛元孝夫: "状態推定フィードバックディジタル制御器の丸め誤差を最小化する誤差フィードバックと座標変換の同時最適化"計測自動制御学会論文誌. (印刷中). (2004)
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[Publications] 中本昌由: "Lagrangeの未定乗数法による緩和を用いたIIRディジタルフィルタの有限語長設計"電子情報通信学会技術報告 ディジタル信号処理. CAS2003-118. 71-76 (2004)