2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射線高感受性疾患遺伝子NBS1のテロメア維持機能と染色体不安定性
Project/Area Number |
02J09596
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 麻子 京都大学, 放射線生物研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | NBS / ATM / TRF2 / NBS1 / telomere / 染色体不安定性 / 細胞周期 / 発がん |
Research Abstract |
本研究では染色体不安定性症候群のNBS細胞、AT細胞、およびテロメア短縮が予想されるファンコニー貧血(FA)細胞を材料として、NBS1蛋白質のテロメア維持機能の解明と放射線発がんの重要過程である染色体不安定性との関連性を解析することを最終目的とし、今年度は以下の実験を行った。 1.NBS細胞におけるテロメア短縮の再検討 昨年までの我々の予備的な実験でNBS患者由来の初代培養細胞においてテロメア短縮が促進されること、また短いテロメア長を維持していたNBS不死化細胞がNBS cDNA導入後にテロメア延長することが示された。そこで、これらの結果を再試するため、様々な変異型NBS1遺伝子発現細胞におけるテロメア長をサザン解析法、AEプローブによる加水分解時の発光量を比較するHPA法などを用いて比較検討した。 2.NBS1とTRF2との相互作用の検討 NBS1蛋白質は現在までの研究で、細胞周期依存的にテロメア結合蛋白質の一つであるTRF2と相互作用することが示されている。しかし、その相互作用がもたらすテロメア維持機能は未だ不明である。そこで我々は、TRF2を介したNBS1のテロメア維持機能を検討するために、機能的ドメインを欠失した各種NBS1発現細胞を用いて、TRF2との相互作用の変化を免疫沈降法で検討した。 3.NBS1とATMとのテロメア維持機構における相互作用の検討 DNA損傷修復においてATの原因蛋白質ATMがNBS1を直接リン酸化することがチェックポイント機能に重要な役割を果たすという報告がされたが、同様の機構がテロメア維持にも働いているかは未だ不明である。AT細胞で認められるテロメア短縮促進がNBS細胞同様のテロメア維持異常によるものか検討するために、AT細胞における、NBS1/TRF2複合体形成や、細胞内局在を免疫沈降法や免疫染色法などを用いて検討した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Tauchi, et al.: "Nbs1 is essential for DNA reaper by homologous recombination in higher vertebrate cells"Nature. 420. 93-98 (2002)
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[Publications] J.Kobayashi, et al.: "NBS1 localized to gamma-H2AX foci through interaction with the FHA/BRCT domain"Curr.Biol.. 12. 1846-1851 (2002)