2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内プロテアーゼの新しい物質認識機構に関与するポリリン酸の細胞機能解明
Project/Area Number |
02J09763
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
野村 和孝 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリリン酸 / Lonプロテアーゼ / リボソームタンパク質 |
Research Abstract |
今年度の研究計画に従い、Lonプロテアーゼ-ポリリン酸複合体の構造および基質となるリボソームタンパク質の認識機構について解析を行った。複合体の構造解析に関して、まず、Lonプロテアーゼのポリリン酸結合領域の特定を行った。PCRを用いて欠失変異プラスミドを作製し、精製した欠失タンパク質のポリリン酸結合能を調べた結果、784アミノ酸からなるLonプロテアーゼのうち、272番目から350番目の領域にポリリン酸が結合することが明らかとなった。この領域は比較的親水性に富んではいるものの、これまでに知られているモチーフ様の配列はみられなかった。次に複合体の電子顕微鏡による観察を行った。一般的によく行われる負染色法ではうまく染まらなかったため、低角度回転蒸着法により観察を行った結果、Lonプロテアーゼがリング状に重合した巨大な複合体像が得られた。このリング状の構造が基質特異性の変化に重要であると思われる。また、基質の認識機構の解析については、57種類存在するリボソームタンパク質のうち複合体の基質となるものの同定を行った。具体的には、大腸菌より調整したリボソームを高濃度の塩化リチウムにより抽出し、陽イオン交換クロマトグラフィーにより分離したリボソームタンパク質の分解を調べた。その結果、これまでに明らかとなっているS2,L9,L13のほかに、L1,L3,L6,L24,などが複合体により分解されることが明らかとなった。さらに、これらのタンパク質は、陽イオン交換クロマトグラフィーにおいて比較的低濃度の塩により溶出することから、比較的リボソームから解離しやすいタンパク質、つまり、フリーになりやすいリボソームタンパク質をターゲットにしているのではないかと考えている。また、ポリリン酸は塩基性タンパク質であるリボソームタンパク質とも結合することから、現在、基質のポリリン酸結合力と分解速度の関係について解析を行っている。
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Research Products
(1 results)