2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物特有な転写因子Dofタンパク質による転写制御に関する研究
Project/Area Number |
02J09766
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梅村 佳美 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Dof domain / ascorbate oxidase / AOBP / transcription factor / Zn finger / plant |
Research Abstract |
アスコルビン酸酸化酵素(ascorbate oxidase, AAO)は、細胞伸長に深く関与していることが示唆されているが、その発現調節の機構については不明である。AOBPは、このAAO遺伝子の5'上流域のサイレンサー様配列に結合するタンパク質として、そのcDNAがクローニングされた。AOBPはDof (DNA binding with one finger)ドメインと呼ばれるZnフィンガー型DNA結合ドメインを有するが、一般のZnフィンガーは1つのタンパク質あたり複数単位存在するのに対し、DofドメインのZnフィンガーは1単位しか存在しないという特徴を有する。現在のところ、Dofドメインは植物以外の生物では見つかっておらず、非常にユニークなDNA結合ドメインとして植物界で広く保存されているものと思われる。しかし、植物体におけるDofタンパク質AOBPの生理機能については未だ明確にはされていない。そこでAOBPの生理機能を明らかにするため、現在、実験系の確立したモデル植物であるタバコを用いて解析を行っている。これまでに、タバコAOBPホモログ(NtAOBP)のcDNAを単離し、その発現様式を調べた結果、AAOとNtAOBPの発現には負の相関が認められ、NtAOBPがAAO遺伝子の発現を抑制する転写因子として機能している可能性が示唆された。また、NtAOBPの発現を抑制した形質転換タバコでは、コントロールのものに比べ葉が非常に細長くなる等、異常な形質を示した。これはAAOのリプレッサーと考えられるNtAOBPの発現が抑制されたため、AAOの発現が増加し、細胞が一定方向にのみ伸長し、葉が細長く変形したものと推測される。今後、NtAOBPの生理機能解明のために、本形質転換体の更なる解析を行う予定である。
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