2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病連関神経細胞死に拮抗する新規遺伝子の解析と類縁体の探索
Project/Area Number |
02J09810
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田島 裕久 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Humanin / Alzheimer's disease / Y-maze test / water-finding task / behavior / memory and learning / in vivo / tyrosine kinsase |
Research Abstract |
1)HNのマウス組織における局在の加齢による影響 若齢(E18)雄ICRマウスにおけるHNの組織分布を抗HN抗体を用いて調べた。年齢特異的な抗体陽性バンドが観察されたが、これらのバンドがHN特異的であるかどうか今後検討していく予定である。 2)in vivoにおけるHN及びS14G-HNの作用 アルツハイマー病(AD)の根治的治療の第一歩として、β-アミロイド(Aβ)健忘のマウスモデルに対するS14G-HNの作用の検討を行った。具体的には、健忘を起こさせるために雄ddYマウスの側脳室にAβを注入し3週間おいた。またその間、S14G-HN、HNあるいはS14A-HNを週1回計3度側脳室注入し、Aβ健忘及びHNペプチドによる改善効果を検討するため、短期記憶及び空間作業記憶試験としてY字迷路試験を行った。その結果、5nmolのHNの側脳室注入により有意ではないがマウスの健忘が改善する傾向にあることが明らかとなった。また、in vitroにおいてHNの1000倍強い神経細胞死抑制活性を有するS14G-HNは、50pmolの側脳室注入で有意に健忘を改善することが明らかとなった。これに対しin vitroにて細胞死抑制効果を有しないS14A-HNは5nmolを側脳室投与してもAβ健忘を改善することはできなかった。また、water-finding taskによりHNペプチドは短期だけでなく長期記憶の障害にも有効であることが明らかとなった。これらのことからHNペプチドは一次配列特異的にAD関連侵害刺激によって起こるAβ健忘を改善しうることを示しており、AD治療薬としての可能性が示唆された。 3)HN類縁体の解析 HN類縁体を検索するため、ヒトcDNAライブラリーより核酸レベルでHNに約85%ホモロジーをもつmRNA由来と思われる断片を単離した。今後、この断片の全長をRACE法及びphagスクリーニングにより探索する予定である。
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Research Products
(1 results)