2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J09843
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀本 訓子 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | クラスター / 表面増強ラマン散乱 / 溶媒和 / 酸化チタン |
Research Abstract |
原子数が数十個から数百個のナノクラスターは、バルクとは異なる構造や物性を持つことが知られている。また複数の種類の原子・分子から構成される複合ナノクラスターにおいては原子・分子を比較的容易に変えることができる一方、性質が大きく変化するため、これを活かして新規な物質の創製が行われている。その中でも特に、有機分子によって溶媒和された遷移金属サンドイッチクラスターでは興味深い電子物性や磁性が発見されており、その基本的な性質を解明することは重要である。このようなクラスターの構造および反応過程を分光学的に調べるため、ラマン分光システムの開発を新たに行った。本研究では真空中における微小量のクラスターを対象としているため、市販のラマン分光計を用いることができない。このために分光機以外の部分をすべて自作した。また、表面増強ラマンを導入して感度の向上をはかった。銀コロイド粒子を合成し、走査型電子顕微鏡およびX線回折によって同定を行い、表面増強効果の高い直径数十ナノメートルの会合した銀コロイド粒子が得られたことを確認した。この銀コロイド粒子に色素を吸着させ、コロイド溶液中での表面増強ラマンスペクトルを測定することに成功した。また、この溶液を金属基板上に展開し、固体表面上での測定を試みた。現在、真空中に導入するのに適切な基板および固定方法を検討している。また、溶媒和や反応の組成、サイズ、電荷に対する依存性を検討するため、原子数個〜数十個程度からなるチタン-酸素クラスターイオンの水との相互作用を調べた。その結果、いずれのクラスターイオンも水を吸着し、親水性が大きいことがわかった。
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