2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J09860
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
東野 篤子 慶應義塾大学, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際関係 / 国際政治 / 欧州連合(EU) / 拡大 / 安全保障 / 冷戦後 |
Research Abstract |
本研究は、欧州連合(EU)の東方拡大を事例として、冷戦後ヨーロッパの秩序形成について考察を行うものである。二年目である本年は、昨年形成した理論枠組みの上に立ち、実証分析部分の執筆を開始した。冷戦後のEU拡大プロセスでは、実際の加盟交渉が極めて技術的・経済的な観点から行われたのに対し、EUを拡大するそもそもの理由付けや、交渉結果の正当化は、常に安全保障上のロジック(「EU拡大による全ヨーロッパの安定と平和の確保」)を用いてなされてきたという特殊なメカニズムが存在するのであるが、本研究ではこのメカニズムを、安全保障研究において近年著しく注目されつつあるコペンハーゲン学派の「安全保障化(securitisation)」と「脱安全保障化(desecuritisation)」の概念を用いて理論化したうえで、EU拡大プロセスにおいて極めて重大な決定が行われた1993年、1997年、1999年、2000-02年の事例を取り上げ、それぞれの時期において安全保障考慮が政策決定にどのような影響を与えたのかについて比較検討した。 本年度の成果は2003年12月に英国バーミンガムで開催された英国国際政治学会(Study Association:BISA)、および米国ワシントンで開催されたシンポジウム「拡大するヨーロッパ」(ジョージタウン大学ドイツ・ヨーロッパセンター主催)で報告した。また、『日本EU学会年報』に、本年度の成果を論文にまとめて投稿し、掲載が決定された(出版は2004年9月)。さらに、2003年4-5月にはヨーロッパに、2004年2月には米国に出張し、政府内部資料などを中心とした文献収集を行うことが出来た。なお、昨年度の研究の成果を、昨年度中に学会誌『Cooperation and Conflict』に投稿し、掲載が決定されていたが、同誌で特集号が急遽組まれた関係などで、拙稿の掲載・出版が来年度にずれ込むこととなった模様。
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Research Products
(2 results)