2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J09889
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥村 久士 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 液体 / 分子動力学シミュレーション / 相転移 / 気体 / 非平衡 / 統計力学 / 流体力学 / Rayleigh-Plesset方程式 |
Research Abstract |
液体を局所的に加熱した場合、どのように原子が運動して気泡ができるのかその微視的な描像はまだ明らかになっていない。またこれまでに気泡の膨張・収縮過程を流体力学的に説明する試みがなされているが,初期の気泡発生段階において流体力学的な記述がどの程度正しいのかもわかっていない。そこで本研究では分子動力学(MD)シミュレーションにより原子の振る舞いを調べ気泡のできる過程を解明した。 周期的境界条件の下でAndersenの手法を用いて等圧MDシミュレーションを行った。粒子問の相互作用はLennard-Jones 12-6(LJ)ポテンシャルを使った。温度はT^*=1.0,密度はn^*=0.71とした。ここでLJポテンシャルの直径と深さを1とする無次元化した単位系を使っている。シミュレーションセルの中心付近の原子を速度スケーリングにより瞬間的に加熱した。系全体の粒子数5000個のうち80個をT^*=11まで加熱した。加熱により運動エネルギーの大きくなった原子が周りの原子をはじきとばして、中心付近の密度が薄くなり気泡が生じた。さらに時間がたつと周りの液体に圧縮されて気泡が消滅する過程も観察された。 一方、巨視的な立場から気泡の運動を記述するためには流体力学のRayleigh-Plesset方程式が知られている。この方程式とMDシミュレーションの結果を比較するとよく一致した。このことから、流体力学も微視的な気泡を記述するのに有効であることがわかった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] H.Okumura, F.Yonezawa: "Approximate Formula for Bulk Viscosity"J.Phys.Soc.Jpn.. 71. 685-688 (2002)
-
[Publications] H.Okumura, F.Yonezawa: "Bulk Viscosity in a Density-Dependent-Potential System"J.Non-cryst.Solids. 312-314. 260-264 (2002)
-
[Publications] H.Okumura, F.Yonezawa: "Precise Determination of Liquid-Vapor Critical Point by NVT Plus Test Particle Method"J.Non-cryst.Solids. 312-314. 256-259 (2002)
-
[Publications] H.Okumura, F.Yonezawa: "Bulk Viscosity in the Case of the Interatomic Potential Depending on Density"Phys.Rev.E. 67(印刷中). (2003)
-
[Publications] 奥村久士: "液体の熱力学的性質の理論的研究-気液相転移と体積粘性率-"分子シミュレーション研究会ニュースレター アンサンブル. 19. 8-8 (2002)
-
[Publications] 奥村久士, 米沢富美子: "液体水銀の金属-非金属転移領域における体積粘性率異常の理論"固体物理. 38. 57-64 (2003)