2002 Fiscal Year Annual Research Report
タイ東北部における移動労働者の形成するネットワークの検証
Project/Area Number |
02J09933
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡部 厚志 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タイ / 農村 / 移動労働 / 経済開発 |
Research Abstract |
今年度は、02年7月〜9月(第1回)、02年12月〜03年1月(第2回)にわたってコンケーン県内3ヶ所の農村でインタビュー調査を行った。 第1回調査においては、海外労働のある世帯、国内労働のみある世帯、移動労働のない世帯について、家族構成、家計状況、移動のプロセスを聞き取りした。三村(A、B、C)のうち、村AとBは比較的早く(60年代)から現金収入や支出があった地域で、農業やその他の雇用も比較的安定している。一方、C村では、70年代以降に新しく開拓され、農業生産の不安定さから住民達の生活には国内季節労働が必須だった。こうした環境の違いから、80年代以降に活発になった海外労働に対する反応に差があるように見受けられる。村AとBでは概して具体的な目標(購入物や教育費、投資など)が掲げられるが、Cの場合は農閑期に「何もしない」ことを嫌って(つまり季節労働と同じ理由で)多額の借金をして海外に出て行くケースが多い。 この調査結果から、三村の移動に対する態度の違いとその理由について、あらたな分析対象を加えることにした。一つは、村と家族の歴史である。約1世紀の歴史のある村AとBに対し、20年前に集団移住によって形成された村Cでは、生活基盤や外の世界(都市や外国)に関する知識、関心が大きく異なると思われる。二点めは、土地保有(制度と実質)の違いである。所有面積や法的権利の差は、特に若い人にとって、農業経営に対する期待の差となって現れることが予想される。 第2回調査は、前回と同じインフォーマントを対象に上記二点の調査を行った。人口の流出入は村AとCが盛んで村Bは少ないほか、Cでは土地面積が少なく所有権も得ていないといった違いが明らかになったが、移動労働との関連については、現在分析中である。
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Research Products
(1 results)