2003 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアゲノムにおける組換え促進配列(x配列)の解析
Project/Area Number |
02J09948
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鵜野 レイナ 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | Chi sequence / homologus recombination / RecBCD / codon usage / genome composition / selective pressure |
Research Abstract |
大腸菌において、Chi配列(5'-GCTGGTGG-3')は、RecBCDタンパクと相互作用し相同組換えを促進するゲノム中の8塩基の配列である。 これらは大腸菌MG1655の場合、全ゲノム中に1009個存在しており、8塩基配列の配列としては高出現頻度の配列である。そのうち989個はORF領域に見られる。以前の大会に於いては、大腸菌内で多用されている2コドン(ctg-gtg)の出現頻度が多いために、結果としてChi配列の出現頻度が高くなったのであり、進化の過程の選択圧によってChi配列が増えたわけではないという仮説を導き出した。 今回は、全ゲノム配列がBlattnerらにより解読された3種の大腸菌(MG1655,O157,CFT)を使用し、Chi配列の数や出現頻度の比較解析を行った。 Chi配列は8塩基の配列の中でも高い出現頻度を持っていることから、進化の過程においてChi配列が増加するような進化的圧力があったのかどうかを明らかとするために、3種の大腸菌で共通の遺伝子を持つ領域と非共通領域とに分けて解析を行った。 増える圧力が存在すればChi配列の出現頻度は各領域で異なると考えられ、それぞれの領域でChi配列,ctg-gtgの2コドンの出現頻度を比較した。 またコントロールとして2コドンの読み枠にならないctggtgの6塩基配列の出現頻度やChi配列としては機能しないChi-likeな配列も同様に比較した。 その結果、Chi配列の出現頻度はctg-gtgの2コドンの変化率と近似する値を示しており、Chi配列の出現頻度はctg-gtgの2コドン使用の増加に伴う影響であってChi配列そのものの機能によって進化の過程で増えたものではないという我々の仮説を支持する結果となった。
|