2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J09958
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 太一郎 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科・特別研究員(DCL)
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Keywords | 生体触媒 / デラセミ化反応 / α-置換カルボン酸 / 酵素精製 / 大腸菌による大量発現 / アシル-CoAシンセターゼ / アミノ基転移酵素 / 立体反転反応 |
Research Abstract |
生体触媒を用いたα-置換カルボン酸に対するデラセミ化反応についての研究を行った。デラセミ化反応とは基質化合物の構造を全く変化させることなく、単にラセミ体を光学活性体に変化させる反応のことである。つまり、ラセミ体を合成することが光学活性体を調製することとと同等の意味を持つ。昨年度までは放線菌の一種Nocardia diaphanozonaria JCM3208株を用い、本反応が脂肪酸の代謝経路であるβ-酸化経路との競合反応であること、本過程が複数の酵素が関与する複合反応機構であることを確認した。しかし、酵素の不安定性から酵素精製を行なうことは断念した。 今年度は、α-メチルカルボン酸に対してデラセミ化活性を有する微生物を新たに探索した。その結果、菌体を破砕しても高いデラセミ化活性を保持している菌株Brevibacterium ketoglutamicum KU1073株を新たに見出した。本菌株を用いて酵素糖製を行なったところ、立体選択的にチオエステル化を触媒する酵素(ACS)を得ることができた。N-末端解析より、本酵素はバクテリア由来のMACSと高い相同性を有することを確認した。さらに遺伝子のクローニングを行い大腸菌による大量発現系を確立した。次にα-アミノ酸に対するデラセミ化反応についても検討を行った。D-フェニルアラニンを資化することを指標にスクリーニングを行い、複数の微生物を得ることに成功した。全菌体および破砕菌体を用いた検討から、本反応はケト酸を経由する反応であることを確認し、補因子要求性の検討から反応に関与する酵素を予想するに至った。検討に用いたSinorhizobium meliloti ATCC51124株は既に全塩基配列が明らかにされていたことから、アミノ基転位反応を触媒すると予想されるORFを大腸菌を用いて大量発現し、同時に大腸菌の有するD-アミノ酸デヒドロゲナーゼ(DadA)を培養条件を工夫することによって活性化することで、効率よくデラセミ反応を行なう組換え大腸菌を構築することに成功した。
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