2002 Fiscal Year Annual Research Report
線虫AAAタンパクの分子細胞生物学的・発生病態学的研究
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02J10017
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
稲川 知子 (山田 知子) 熊本大学, 発生医学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | AAAプロテアーゼ / 線虫 / 大腸菌 / paraplegin / FtsH / ATPase / 遺伝性痙性対麻痺 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
大腸菌FtsHの線虫ホモログは3つ(Y47G6A,Y38F2AR.para,M03C11.5)あり、これらの分子の線虫体内での局在を調べるためにそれぞれの分子のGFP融合タンパクを発現する個体を作製し、解析した。その結果、いずれの分子も体内広域に発現し、特にY38F2AR.paraは細胞内の特定した領域に限局することがわかった。Y47G6AとY38F2AR.paraは酵母ではヘテロダイマーを形成して機能するm-AAA proteaseのホモログであるが、これらの発現様式から線虫ではヘテロダイマーを形成している可能性が低いことが示唆された。次いでこれら3つの分子についてRNA干渉法により機能低下をおこした個体の表現型を解析した。その結果、Y38F2AR.paraとM03C11.5については異常が認められなかったが、Y47G6Aについては産卵数の減少、胚性致死、そして第一幼齢期での成長停滞などの複合型表現型が認められた。現在、細胞レベルで、組織化学的染色法などを用いて、RNA干渉法による表現型の詳細な解析を行っている。 線虫ホモログの機能解析と同時にFtsHの基質translocation機構について解析を行った。FtsHはリング状の6量体を形成して、unfoldした基質をこのリング内部に通すと考えられている。この機構を解明するために、ATPaseリングの入り口に位置する保存された芳香族アミノ酸残基F228をランダムに置換した変異体を作製し、温度感受性変異の相補活性を調べたところ、側鎖が比較的長く、非電荷のアミノ酸残基のものが相補活性を示した。この結果は、この残基が基質のtranslocationに重要であることを示唆している。
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