2002 Fiscal Year Annual Research Report
「マルチメディア民族誌」の提唱:『タンザニア都市民の生活誌』を題材として
Project/Area Number |
02J10065
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小林 直明 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | マルチメディア民族誌 / タンザニア / 都市文化 / 映像人類学 / 実験的民族誌 / スワヒリ文化 / 生活文化 / アフリカ |
Research Abstract |
本研究は、最新の情報技術を駆使した新しい形態の民族誌として、「マルチメディア民族誌」を提唱するものである。本研究でいうところの「マルチメディア民族誌」とは、インターネットで用いられているHTML形式やDVDプレーヤーの世界標準規格であるDVDビデオ規格などのデータ形式によって構築される民族誌である。紙媒体で刊行されてきた従来の民族誌では扱うことのできなかった動画や音声などの素材を中心に構成される「マルチメディア民族誌」は、一連の民族誌批判を乗り越えるための「実験的民族誌」の一形態であり、かつ、近年社会的需要が高まっている民族誌的知識を、広く一般に普及させるための実践的な試みの一つである。 本研究では、平成14年度から16年度までの3カ年の研究期間内に、次にあげる3点を達成することを具体的な到達目標として掲げている。 1.「マルチメディア民族誌」の題材(素材)としての『タンザニア都市民の生活誌』の執筆 2.DVDビデオ規格およびHTML形式に準拠した「マルチメディア民族誌」の制作・発表、 3.「マルチメディア民族誌」の、研究手法としての普及を目的とした方法論に関する論文執筆、学会発表 以上3点を効果的に達成すべく、各課題へ同時進行で取り組んでいる。全般として基礎研究に費やしてきた平成14年度の主な成果としては、以下4から7をあげることができる。 4.従来の現地調査で撮りためてあった動画素材を再活用したDVDビデオ規格による「マルチメディア民族誌」の試作品(第1号)の制作 5.上記試作品を利用した、DVDビデオ規格による「マルチメディア民族誌」の制作プロセスに関する研究者(制作者)向け講習会(兼試写会)の開催 6.『タンザニア都市民の生活誌』執筆に係る追加調査、および来年度以降に計画されている「マルチメディア民族誌」素材の撮影を主とする本格的な現地取材に向けた予備調査 7.国立民族学博物館の共同研究プロジェクト(新領域開拓プロジェクト「多重メディア環境と民族誌」)への参加を通じた意見交換 なお、平成15年5月末に開催予定の日本アフリカ学会学術大会において、上記6の成果として得たビデオ素材を利用した試作品(第2号)を「タンザニア・ダルエスサラームの住民組織:DVDビデオ規格を利用した『マルチメディア民族誌』の試み」と題し、発表する予定である。
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