2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J10112
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
杉村 美佳 上智大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 一斉教授法 / 教育方法史 / 教場指令法 / School Tactics |
Research Abstract |
本研究は、明治初期に移入された一斉教授法の背景に、アメリカのいかなる学校管理思想があり、それがどのような教育状況に対応して生み出されたものであるか、またこのようなアメリカの教育情報を受け、日本の小学校教育においてどのように一斉教授法が成立したかその経緯を解明することを目的とする。 本年度は、アメリカのセントルイス市で採用されたSchool Tacticsなる一斉教授法を成り立たせるための方法が、19世紀後半のアメリカと日本でそれぞれどのように導入され、定着していったのかに焦点を当て、文献調査を中心に比較教育史的視点から研究を進めた。 研究の結果、1.セントルイスでは、管理と教授の効率性や経済性の高い等級制学校システムを導入し、等級制の大規模学級において一斉教授を効率よく進める必要から、School Tacticsを採用していたこと。2.セントルイスではSchool Tacticsの中に、生徒に「意見」や「批判」を問う指令や、生徒に互いに発問させ、回答させる指令を組み込み、生徒を授業に積極的に参加させる工夫が加えられていったこと。3.School Tacticsは、明治初期日本に「教場指令法」として移入され、平章学校(現山形県長井市立長井小学校)、土浦小学校、藤沢小学校などの等級制大規模学校において導入されたが、教師からの一方向的な号令だけが浸透し、教師中心の画一的な一斉授業を成り立たせる情報源となったこと。4.明治20年代の開智学校、開明学校などでは、学級制導入後も「教場指令法」が学校管理規則の一部としてさらに詳細に規定され、一斉授業場面において生徒の行動を一斉に統制し、訓育の役割も果たすようになっていたことを明らかにした。このうち、1.〜3.に関しては、平成14年6月の日本比較教育学会において「ミズーリ州セントルイス市における一斉教授法の成立過程」と題する研究成果の報告を行った。
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