2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J10177
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
佐竹 真介 総合研究大学院大学, 数物科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 核融合 / プラズマ / 新古典輸送理論 / 有限軌道幅効果 / モンテカルロシミュレーション / イオン熱伝導率 / トカマク / δf法 |
Research Abstract |
トカマクなどのトーラス配位の磁場閉じ込めプラズマ中における、荷電粒子の衝突拡散に起因する輸送現象を扱う新古典輸送理論(neoclassical transport theory)を、磁気軸近傍の荷電粒子の軌道の有限性を含めて正しく解析するための研究を行った。 ガイディングセンター軌道の小半径方向の軌道幅Δ_bは磁気軸近傍においては各粒子の瞬間の小半径位置γと同程度の大きさになり、Δ_b<<γを仮定した従来の新古典輸送理論では取り扱えない。また、磁気軸近傍では、従来よく知られているパッシング軌道、バナナ軌道という軌道の分類とは異なる特徴的な軌道(ポテト軌道と総称される)が現われ、運動論方程式を解く際にこの特徴的な軌道をもつ粒子に対して、その有限幅効果を含めた取り扱いが必要である。本研究では、無衝突極限における粒子軌道の3つの運動の恒量(エネルギーε、磁気モーメントμ、平均ポロイダルフラックス位置<ψ>)を独立変数とする簡約化運動論方程式を用いるLagrange的記述の新古典輸送理論を、この問題に適用した。本研究ではこの手法を、磁気軸近傍の様々な軌道の有限幅効果を含めて定式化するとともに、具体的な数値計算の方法についても初めて確立することに成功した。 Lagrange的な新古典輸送理論を用いてイオンの熱伝導率を計算した結果、磁気軸近傍では従来の新古典理論で予測される値よりも、熱伝導率が低くなることが示された。これは最近のトカマク実験での計測結果でみられる傾向とよく一致する。この研究成果はPhysics of Plasmasに掲載された。 また、有限軌道幅効果から生じる粒子フラックスは従来の理論でよく知られる本質的両極性を満たさないので、両極性条件Γ_i=Γ_eを満たすような径電場が自発的に形成される。このプラズマ内の径電場構造の形成やそこで見られる、GAM振動と呼ばれる電場振動の収束過程を調べるために、δf法と呼ばれるモンテカルロシミュレーションも行っている。今年度はこのコードの高精度化、高速化を図るべくチューニングを行ってきており、またアルゴリズムについても磁気軸近傍のような有限軌道幅効果のきつい領域にも使えるよう改良をした。そのシミュレーション結果については近日中に論文に投稿する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shinsuke Satake et al.: "Lagrangian neoclassical transport theory applied to the region near the magnetic axis"Physics of Plasmas. 9,9. 3946 (2002)
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[Publications] Masao Okamoto et al.: "Neoclassical Radial Electric Field in a Plasma with a Flow"Neoclassical Radial Electric Field in a Plasma with a Flow. 78,12. 1344 (2002)