2002 Fiscal Year Annual Research Report
統一理論を視野に入れた素粒子の現象論及びその宇宙論への応用
Project/Area Number |
02J10245
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浜口 幸一 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超対称性 / バリオン生成 / Affleck-Dine機構 / Q-ball / 暗黒物質 / レプトンフレーバー |
Research Abstract |
・研究課題「統一理論を視野に入れた素粒子の現象論及びその宇宙論への応用」の一環として、今年度は超対称性理論の現象論、宇宙論について研究を進めた。超対称性理論は素粒子の標準模型を超える枠組みとして広く考えられており、(i)ヒッグス粒子の質量に対する輻射補正をコントロール(ii)ゲージ結合定数の見事な一致(iii)宇宙の暗黒物質の有力な候補を含む、といった理由から非常に魅力的である。(特に(ii)は大統一理論の存在を強く示唆している。) ・特に今年度前半は超対称性理論の枠組みの中での「宇宙のバリオン生成」について調べた。現在我々が住む宇宙の物質-反物質の非対称性を説明する機構(=宇宙のバリオン生成)は素粒子論及び宇宙論が解明すべききわめて重要な課題の1つである。さて、超対称性理論では一般にスカラー場のポテンシャルに平坦な方向があり、これを用いて非常に効率よくバリオン数を生成する機構(Affleck-Dine機構)が知られている。ところが最近になって、このAffleck-Dine機構で生成されたバリオン数はいったん「Q-ball」と呼ばれるソリトンに閉じこめられてしまうことが分かった。したがって、現在観測されているバリオンはQ-ballの崩壊によって生成されたはずである。このシナリオの下での宇宙の熱史を詳細に追ったところ、Q-ballの崩壊が比較的低い温度で起こるため、暗黒物質の候補である超対称性粒子が熱平衡に至る事が出来ないことが分かった。さらに、暗黒物質の候補としての超対称性粒子に要求されている性質(質量が対消滅断面積)が通常に考えられているものとは大きく異なる事が分かった。【Physical Review D66(2002)083501】これは超対称性理論の現象論的研究に大きな影響を与える重要な結果だと思われる。 ・今年度後半においては超対称性模型のレプトンフレーバー混合について考察した。(hep-ph/0212172)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masaaki Fujii: "Leptogenesis with almost degenerate Majorana neutrinos"Physical Review D. 65. 115012 (2002)
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[Publications] Masaki Fujii: "Predictions on the neutrinoless double beta decay from the leptogenesis via the LHu flat direction"Physics Letters B. 538. 107-114 (2002)
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[Publications] Masaki Fujii: "Nonthermal dark matter via Affleck-Dine baryogenesis and its detection possibility"Physical Review D. 66. 083501 (2002)