2003 Fiscal Year Annual Research Report
意識発現機構の神経回路網による数理モデル化に関する研究
Project/Area Number |
02J10362
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片山 克己 東北大学, 電気通信研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ニューラルネットワーク / 学習 / 統計物理学 |
Research Abstract |
哺乳類の脳の中には,MT野とMST野という部位がある.多くの神経生理学実験によって,MT野のニューロンから入力を受けるMST野のニューロンは,拡大,縮小,回転と並進などの異なる運動に対するオプティカルフローへ選択的に反応することが知られている.ZemelとSejnowskiは3層オートエンコーダーから成るMT野とMST野の理論モデルを提案した.我々は,統計物理学の平均場近似を用いて彼等の提案した理論モデルにノイズ効果を取り入れ,コスト関数の値を最小にするノイズレベルが存在することを見い出した.さらに,そのノイズレベルにおいて,MST野のニューロンの反応特性を調べると,実際のMST野のニューロンと類似した反応特性が得られることを見い出した.しかしながら,3層オートエンコーダーから成るMT野とMST野の理論モデルに対する学習則は大域的な情報が必要であり,神経生理学的に妥当ではない.そこで,我々は,局所的な情報のみを利用するWake-Sleepアルゴリズムを用いたMT野とMST野の理論モデルを提案し,MST野のニューロンに対する反応特性を調べた. 入力層と隠れ層から成る2層ニューラルネットワークを用いた.入力層はMT野に対応し,隠れ層は.MST野に対応する.Wake-Sleepアルゴリズムは生成モデルと認識モデルから成る.そして,Wake-SleepアルゴリズムはWake相とSleep相の2つの学習過程を持ち,これら2つの学習過程が交互に繰り返される.様々な運動に対するオプティカルフローを入力して2層ニューラルネットワークを学習させた.その結果,実際のMST野のニューロンと類似した反応特性が得られることを早い出した. この研究成果をNeural Networksという学術雑誌に投稿し,受理された.
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Research Products
(1 results)