2003 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞由来の神経栄養因子とその生合成機構の解明
Project/Area Number |
02J10381
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小原 祐太郎 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 1321N1ヒトアストロサイトーマ / 神経栄養因子 / 神経成長因子(NGF) / インターロイキン-6(IL-6) / スカブロニン / プロテインキナーゼC(PKC) |
Research Abstract |
われわれは、担子菌ケロウジ由来のスカブロニン類を用いて、1321N1ヒトアストロサイトーマ細胞からの神経栄養因子の分泌制御機構の解析をおこなったところ、この薬物はプロテインキナーゼC-ζ(PKC-ζ)を活性化し。神経成長因子(NGF)などの合成、分泌を促進させることを明らかにした(Eur.J.Pharmacol.1999;Mol.Pharmacol.,2001)。 5,19-cyclo-9β,10ζ-androstane-3,17-dione (CAD)はスカブロニン類と類似した骨格をもつ化合物であることから、スカブロニン類と同様の作用が期待された。実際、1321N1細胞にCADを処理すると、NGFなどの神経栄養因子の合成・分泌が促進され、それらの分泌された因子はPC12細胞の分化を強く促進させた。また、CADの作用はプロテインキナーゼC(PKC)阻害薬GF109203Xやホルボールエステル長時間処理によるPKCのダウンレギュレーションにより、顕著に抑制されたことから、CADの場合もスカブロニン類と同様にPKCの活性化を介しているものと推定された。そこで、各PKCアイソフォームの活性をその膜画分へのトランスロケーションを指標に解析したところ、CADにより、novel PKCδがアイソフォーム選択的に細胞質画分から膜画分へのトランスロケーションされた。一方、conventional PKCやスカブロンニン類により活性化されるatypical PKCはCADによりその局在が変化しなかった。また、1321N1細胞をCADで24h長時間処理すると、PKCδがアイソフォーム選択的にダウンレギュレーションされた。このアイソフォームの違いが見られるのは非常に興味深いことである。 今後、スカブロンニン類およびCADの詳細な作用メカニズムを検討するとともに、in vivoでの実験に応用していく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sachiko Tsukamoto: "Tricholomalides A-C, new neurotrophic diterpenes from the mushroom tricholoma sp."J Nat Prod. 66. 1578-1581 (2003)
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[Publications] Minori Mitsui-Saito: "Theonezolide A, a novel marine macrolide, induces drastic shape change in rabbit platelets by reorganization of microtubules."Thromb Res. 108. 133-138 (2003)