2002 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける国家穀物貿易機関の機能縮小の要因と世界コメ市場への影響に関する研究
Project/Area Number |
02J10392
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 朋久 東北大学, 大学院・農学研究科, 学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 米貿易 / 食糧市場自由化 / 国家貿易企業 / 一次産品貿易 / アジア / コートジボワール / タイ / ペルー |
Research Abstract |
第一に、穀物STEをめぐる国際的な枠組みを国際機関の資料と新聞資料により検討した。米穀貿易を行う穀物STEのうち、早い時期に解体されたコートジボワールとペルーの事例を検討した結果、IMFの構造調整プログラムによる食糧貿易の自由化が可能となる政治構造があったことが分かった。他方、アジアの穀物STEについては、1995年のWTO体制発足をにらんだ駆け込み的な自由化が進められてきたことが資料的に裏付けられた。 第二に、1980年代から90年代にかけてのコメ貿易の構造変動を主要貿易国ごとの統計数値を分析し、ほぼ5年ごとに構造が変わってきたことが分かった.特に95年以降については、(1)中国・インドの食糧貿易方針の転換、(2)合衆国の市場構造の変化、(3)低級米需要国の貿易組織の変化が同時に起こった。つまり、(1)により価格により世界市場での取引が大幅に変動する可能性が生じ、(2)によりアジア市場においてはベトナムとタイの寡占状態が確定し、(3)によりより低級米と上級米への需要の二極化が進んだ。 第三に、最も自由化されたタイと完全な政府管理下にあるミャンマーの米貿易組織の展開過程と国内市場構造を検討した。タイでは、自由な民間業者の活勒を基本としながらも、ベトナムとの競争が激しくなるにつれて、米輸出業者協会の政治的機能の強化が進んだ。ほぼこの10年間、ベトナムあるいはインドを巻き込んだ米輸出国トラストの形成への努力が積み重ねられてきた。また、輸出米の産地化が進んでいた。ミャンマーの米貿易組織については、その活動や機能における資料の分析が途中であるが、研究者レベルでの改革論を検討した。
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