2002 Fiscal Year Annual Research Report
水素処理法による生体用チタン合金の粉末作製および高機能化プロセスの開発
Project/Area Number |
02J10437
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千星 聡 東北大学, 金属材料研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | チタン合金 / 生体用材料 / 水素 / 水素処理法 / 粉末作製 / 高機能化 / 組織制御 |
Research Abstract |
申請者らは種々の金属材料が水素雰囲気中に保持することにより自己崩壊的に粉末化する現象を粉末作製プロセスに応用することを提案してきた。本プロセスにより得られる粉末は、粉末粒径が微細となること、不純物濃度の低いこと、低エネルギーかつ低コストであることなどの様々な優位性をもち、生体用TiもしくはTa粉末製造プロセスとして理想的なものの一つと期待できる。本年度では、水素処理を利用した粉末作製プロセスの確立を目指し、種々の水素処理プロセスにともなうTaの破壊挙動、および組織変化を調査する。さらに、得られた結果をもとに水素処理プロセスを利用した微細Ta粉末の作製を試みる。 再結晶等軸粒組織を有するφ5mmx1mmのディスク状Ta試験片(純度99.996%)を4種類の水素処理プロセスに供した。粉末形態および組織変化を調査するため、水素処理後の試料について、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡による観察を行なった。また水素処理前後での構造変化を調べるため、X線回折解析による構造解析を行った。破砕性を評価するために、水素処理粉末をボールミリングに供し、レーザー式粒度分布測定器により粉末粒径を測定した。 水素雰囲気中で1473Kに保持後、室温まで冷却するプロセスではTa試験片に結晶粒界に依存しない円周状のクラックがみとめられる。一方、水素雰囲気中で1473Kで保持後、冷却時の雰囲気をArに置換したプロセスでは組織変化および破壊は起こらないことから、水素雰囲気中での冷却過程でクラックが導入されると考えられる。Taは低温ほど多量の水素を固溶し、334K以下で水素化合物を形成するが、水素化合物を形成させないプロセスでは破壊は起こらない。これから、クラック導入は水素化合物の形成が関与すると考察される。高温保持後の低温保持温度T_Dを変化させたプロセスでは、T_Dが低温ほどクラックの発生頻度が顕著となり、破砕性も向上する。また、Taは低温ほど多量の水素を吸収し、それにともない格子膨張および水素化合物の形成が顕著になる。これらは試料内部にひずみを導入させ、破壊を促進させる。以上より、水素処理プロセスを最適化することにより、Taの自己崩壊性、粉砕性を向上させることが可能となる。水素処理したTaは数分のミリングでサブミクロンオーダーの微細粉末となり、脱水素処理により極めて不純物濃度の低い粉末となる。 水素処理による粉末化現象はTaのみならず、Ti、Nb、およびそれらの合金でも認められる。また粉末化機構もほぼ同様であることを確認した。本年度に得られた知見より、生体用材料として期待されている各種合金の原料粉末を高品質に作製できる可能性が見出された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Semboshi, N.Masahashi, S.Hanada: "Hydrogenation-induced fragmentation in Ta-Ni alloy"Journal of Alloy and Compounds. (in press). (2003)
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[Publications] S.Semboshi, N.Masahiashi, S.Hanada: "Multiple Cracking of Tantalum by Hydrogenation"Metallurgical and Materials Transactions A. 34A. 685-692 (2003)
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[Publications] S.Semboshi, N.Masahiashi, S.Hanada: "Effect of composition on hydrogen absorbing properties in binary TiMn_2 based alloys"Journal of Alloy and Compounds. (in press). (2003)
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[Publications] S.Semboshi, N.Masahiashi, S.Hanada: "Hydrogen Pulverization of Refractory Metals, Alloys and Intermetallics"Metals and Mater. International. (in press). (2003)
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[Publications] S.Semboshi, N.Masahiashi, S.Hanada: "Macro-and Microstructure changes in hydrogenated TiMn_2 and Ta"Trans.Nonferrous Met.Soc.China. 12. 695-701 (2002)