2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J10457
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 くみ 東北大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 憲法学 / 法哲学 / コミットメント / 通約不能性 |
Research Abstract |
本年度は,第一に,本研究の問題視角である「コミットメント」という概念の意味論上の考察を深めた。その過程で,本研究の問題視角が前提とする,「通約不能性」という概念とそれが示す問題状況とを明らかにする,「憲法学における通約不能性の意義」(『法学』第66巻第3号,2002年8月)を公刊した。 第二に,第一の作業と並行して,「コミットメント」という問題視角から,アメリカ憲法学,フランス憲法学,ドイツ憲法学それぞれの基礎理論の検討を進めた。アメリカ憲法学については,主として,「法による社会の細分化の理論」と形容し得る一連の理論と,国家行為の憲法適合性審査に関する判例法上の「絶対主義アプローチと比較衡量アプローチ」とを,検討の対象とした。フランス憲法学については,いわゆる「非法の領域の理論」と,憲法適合性審査機関としての憲法院の創設によって生じた国民主権論並びに法治主義理論の変容とを,検討の対象とした。ドイツ憲法学については,いわゆる「法的に自由な領域」に関する議論並びに60年代の基本価値論争に伴い生じてきた新たな多元主義理論を,検討の対象とした。 第一,第二の作業を通じて,現代のアメリカ憲法学,フランス憲法学,ドイツ憲法学に共通して存在する「憲法におけるコミットメント」という問題を考察するための基礎理論上の土俵を設定することに努めた。
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Research Products
(1 results)