2003 Fiscal Year Annual Research Report
質量および異性体分離されたクラスターイオンの光解離分光の研究
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02J10486
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
角山 寛規 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クラスター / 構造異性体 / イオンドリフトチューブ / 飛行時間型質量分析計 / 異性体分離 / 質量分析 |
Research Abstract |
Csとプロピオール酸メチル(MP)からなるクラスターCs(MP)_nは凝縮相におけるアニオン重合反応の微視的モデルと見なすことができる。この光イオン化質量スペクトル中にはn=3の強度異常が観測された。類似した強度異常はNaおよびK系でも観測されており、これは中性クラスターにおける反応に起因していることを見いだしている。そこで反応生成物の同定を行うためn=3クラスターについてイオン化効率曲線を測定した結果、未反応のCs(MP)_3クラスターと反応生成物であるCs-ベンゼン誘導体クラスターに対応する2つのイオン化しきい値が観測された。イオン強度からそれぞれの異性体の相対強度見積もった結果、反応生成物の割合が大きいことがわかった。しかしながら、イオン強度には中性クラスターの絶対量だけでなく、そのイオン化断面積の違いが反映されるため直接相対存在比を求めることは不可能である。 これまでに本研究では、イオン移動度の報告のある炭素クラスターを用いて、気相における構造異性体分離実験装置の制作および調整を行い、C_6^+について構造異性体の分離に成功した。また、本手法を上述の金属-分子クラスターに適用し、クラスターの構造決定およびその存在比を決定するために、既存装置の改良を行った。具体的には、移動度測定の高分解能化のためにドリフトセルを再設計し、検出効率を向上させるために減速電極部等を新しく設計した。上述の2つの異性体は、衝突断面積が15%程度異なることがシミュレーションから予測され、十分に本装置で検出可能である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Furuya, Tsunoyama, Misaizu, Ohno: "Photodissociation spectroscopy of MgCH_3I^+ Dissociation processes via charge transfer and/or chemical bond rupture"Chemical Physics Letters. 382. 283-290 (2003)
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[Publications] Tsunoyama, Ohshimo, Misaizu, Ohno: "Intracluster cyclization reaction producing a benzene derivative Photoionization mass spectrometric study of alkali metal - methyl propiolate clusters"International Journal of Mass Spectrometry. 232. 41-50 (2004)