2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J10487
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒田 茂 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒルベルトの第14問題 / 微分・局所巾零微分 / 多項式環 / 自己同型 / 代数幾何 / 不変式環 / SAGBI基底 / 組合せ論 |
Research Abstract |
平成14年度に引き続き、多項式環の自己同型に関する未解決問題への応用を睨みながら、ヒルベルトの第14問題を中心に研究した。平成15年度後半(2003年8月末から2004年2月末まで)は米国ミシガン大学に滞在し、この分野で重要な成果を挙げているHarm Derksen, Igor Dolgachev, Karen Smithらと議論を行い、これまであまり試みなかった代数幾何的な手法を取り入れた研究も行った。そして主に以下の成果を挙げた。 (1)ヒルベルトの第14問題は、多項式環の次元が2以下の場合はZariskiによって肯定的に解決されていた。一方、5次元以上では反例が存在することが示されていた。そして、これまで4次元と3次元の場合だけが未解決であったが、独自に発展させた手法を用いることで、そのどちらの場合にも反例が存在することを示した、又、体の超越次数に関しては、Zariskiの結果により2以下では肯定であるのに対し、永田雅宜氏が1950年代に構成したヒルベルトの第14問題への初めての反例において、すでに4という小さな値を取っていた。その後50年近く、超越次数が3の場合は未解決のままだったが、これについても反例を与え否定的に解決した。 (2)ある方法によって構成された有理関数体の部分体が、有理関数体の中で代数的に閉じているための必要十分条件を定理として得たその系として、多項式環のある種の部分代数が微分の核となるための必要十分条件を得た。その結果、唯一4次元の場合だけ未解決であった微分の核の有限生成性の問題の答えが否定的であることが分かった。多項式環における微分の核の有限生成性の問題は、ヒルベルトの第14問題の重要な場合の一つであり、一般に大変難しい。 (3)これらの結果を得るのに用いたSAGBI基底や単項式の組合せ論を応用した独自の手法を定式化し、多項式環の自己同型問題やそれらと関係の深い局所寞零微分、不変式環などを研究するための新しい理論の構築を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 黒田 茂: "A generalization of Roberls' counterexample to the fourteenth problem of Hilbert"Tohoku Mathematical Journal. (掲載決定). (2004)
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[Publications] 黒田 茂: "A finite universal SAGBI basis for the kernel of a derivation"Osaka Journal of Mathematics. (掲載決定). (2004)
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[Publications] 黒田 茂: "A counterexample to the fourteenth problem of Hilbert in dimension three"Michigan Mathematical Journal. (掲載決定). (2004)