2002 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーカミオカンデにおける長基線原子炉ニュートリノ振動の研究
Project/Area Number |
02J10526
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸藤 祐仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニュートリノ |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に発生したスーパーカミオカンデでの光電子増倍管の破損事故の復旧、および再建作業が研究活動の大きな部分を占めた。具体的には1月から6月にかけて行った光電子増倍管の光量に対する前測定、夏から秋にかけて実施された再建作業、検出器内に水を注入する前に行った空気中光量較正、そして水を注入した後の光量較正である。またこれらと同時に物理解析、主に原子炉反ニュートリノのバックグラウンドになりうる宇宙線ミューオンの原子核破砕反応によって出来る放射性物質によるスポレーションイベント、太陽反電子ニュートリノに対する研究を行った。 光量前測定では、Xenon flashランプを用いて検出器内に取り付けた場合に基準となる約400本の光電子増倍管の較正を行った。この較正では相対光量のばらつきを1%に抑える為に測定の最初から最後まで用いる基準球を12個設置し、その中の3個を毎日測定開始と最後に測定する事で測定系の変化を見積もり、1%以上変化した場合基準球12個を測定しなおして、求める基準を再設定するという方法を用いた。この測定について企画から実施まで中心メンバーとして測定を遂行した。また検出器に設置した後の光量較正について、今までは検出器の構造上光源を検出器の中心部分に設置する事が不可能であった。今回この問題を、可動式のステンレスパイプを用いることで中心部分に設置することを可能にし、これらのシステム、作業手順、問題点とその改善について確立する事が出来た。未だ水の透過率が安定しない事等からこの光量較正は終了していないが、今後の較正によりスーパーカミオカンデIIの相対光量は、スーパーカミオカンデIの相対光量7%を改善するものと期待できる。 スポレーションバックグラウンドに対する解析においては、統計的手法を用いることにより、最終的なイベントサンプル8-20MeV領域において残存するスポレーションイベントが93%±6.9%(統計誤差)±1.1%(系統誤差)である事が分かった。 太陽反電子ニュートリノの解析においては、BPB2001の^8Bニュートリノ流量を基準に、90%の精度で0.8%以下であるという事が分かった。
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