2002 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ核移植法の開発および遺伝子改変ブタ作出への応用
Project/Area Number |
02J10553
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川原 学 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 核移植 / 初期化 / 活性化 / 卵子 |
Research Abstract |
本研究ではブタ核移植法の確立が極めて重要なポイントとなる。 申請書では平成14年度の研究計画において、(1)活性化刺激と(2)卵子の体外成熟培養時間が核移植した胚の発生に及ぼす影響を調べる予定であった。 この研究計画に則り、以下の知見を得た。 活性化刺激法として、卵内カルシウムイオンの一過性の上昇を引き起こすイオノマイシン、電気刺激(150V/mm,60μsec)、また、サイクリンBレベルの低下を誘起しMPF活性を抑制するシクロヘキシミドをそれぞれ単独で適用した場合と、カルシウムイオン系、サイクリンB抑制系各々でより活性可能が高いものを組み台わせた複合活性化法について検討した。実験の結果、活性化刺激を与えた単為発生卵の胚盤胞期への発生率が最も高かったのはイオノマイシン、電気刺激、シクロヘキシミドこれら3者の複合刺激を施した処理区であった。さらに、顕微注入によって核移植した胚に対して同様に3者の複合処理を施した場合、単独で活性化した場合よりも有意に高い発生率を示した。以上から、イオノマイシン、電気刺激、シクロヘキシミドの3者複合活性化刺激は核移植した胚の発生率を向上させることが示された。 2.レシピエント卵子の体外成熟培養時間が核移植胚の発生に及ぼす影響を調べた。体外成熟培養36、40、44時間での卵子の成熟率には差が無かった。しかし、36時間体外成熟培養を施した成熟卵子は核移植胚の胚盤胞期までの発生を支持することができなかった。また、40と44時間の体外成熟培養時間では40時間の方が核移植に供した場合有利に高い発生率を引き出すことが明らかになった。 また、研究の進行状況から平成15年度の研究計画の内容にも着手した。 (1)核移植後の核の形態変化を調べ、その形態変化が核移植胚の発生に及ぼす影響を調べた。その結果、卵子内の成熟促進因子MPFによる核の凝縮が核移植した胚の発生に重要であることが明らかになった。(2)の実験結果とも考慮し、核の初期化にはMPFの高い卵細胞質に核を曝すことが重要であると推察された。 以上(1)から(3)の研究成果を踏まえ、平成15年度にはMPF活性と核の初期化との関係を分子レベルで解析し、さらに核移植された胚の個体への発生を確認すべき仮親豚への核移植胚移植を行いたいと考えている。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Manabu Kawahara, Tadashi Mori, Hozumi Tanaka, Hiroshi Sasada, Eimei Sato: "FACTORS AFFECTING THE DEVELOPMENT OF THE RECONSTRUCTED EMBRYOS PRODUCED FROM IN VITRO SYSTEM IN PIGS"Life Science Research. (掲載決定). (2003)
-
[Publications] Makoto Osanai, Yuki Taguchi, Nobuyuki Endo, Manabu Kawahara, Hiromichi Matsumoto, Hiroshi Sasada, Eimei Sato: "PORCINE EMBRYONIC STEM CELL LINES ; POSSIBILITY OF MEDICAL APPLICATIONS AND STRATEGY FOR PRODUCTION"Life Science Research. (掲載決定). (2003)