2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高速ULSI実現のための銅配線におけるボイド形成機構の解明
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02J10570
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関口 貴子 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Cu配線 / ボイド / 応力分布 / 界面剥離 / バリア |
Research Abstract |
これまでの研究結果から、超高速ULSIデバイス用Cu配線におけるボイド形成を防ぐには、Cu/バリア界面の密着性向上が有効であることが明らかになった。しかしながら、Ta窒化物をバリアとする多層Cu膜のCu/バリア界面の密着性については、十分な理解が得られていない。この主な要因は、密着性を評価するための剥離試験が確立されていないことにある。本研究では、ナノスクラッチ試験を用いてTa窒化物をバリアとするCu多層膜のCu/バリア界面の密着強度の測定を行った。ナノスクラッチ試験は、Cu/バリア界面のような強い界面の強度を簡便に測定することに適した方法である。ナノスクラッチ試験では、ダイヤモンドの圧子を膜表面に走査させるとともに、垂直方向の荷重を付加することで、膜内に生じた応力を利用して界面での剥離を誘起する。このため、この方法を用いて密着強度を評価するためには、膜内の変形や残留応力の影響を考慮する必要がある。そこで本研究では、2次元有限要素法を用いて圧子からの垂直荷重と水平荷重による膜内の応力分布シミュレーションを行った。計算には、膜を構成している各層の変形挙動、残留応力、弾性異方性の影響を考慮した。その結果、以下の事実が明らかになった。 1.ナノスクラッチ試験における剥離の駆動力は、数100nmの領域で生じる応力集中である。また応力集中は、塑性変形によってCuのひずみ量が増加したことによる、Cu/バリア界面でのひずみの不一致に起因する。 2.応力集中の度合いは、膜内の塑性変形量や残留応力に依存する。このため、試験で得られる剥離の臨界荷重から界面での密着強度を導くためには、有限要素法を用いて各々の影響を定量的に見積もることが有効である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Sekiguchi: "The Correlation of Adhesion Strength with Barrier Structure in Cu Metallization"MRS proceeding. 766(in printed). (2003)
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[Publications] A.Sekiguchi: "Microstructural Influences on Stress Migration in Electroplated Cu Metallization"Applied Physics Letter. 83. 1962-1964 (2003)