2003 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性体から電界発光分子へのスピン注入による発光色制御
Project/Area Number |
02J10581
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仕幸 英治 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 強磁性体 / 電界発光分子 / スピン注入 / アルミニウムキノリン錯体 / 界面 / 磁場 / スピン偏極発光 / 磁気共鳴測定 |
Research Abstract |
強磁性体から電界発光分子へのスピン注入による発光色制御に関して,強磁性金属を陰極とする有機EL(Electroluminescence)デバイスの特性および,デバイス各層の材料特性を,磁気共鳴測定装置および磁場中発光スペクトル測定装置を用いて明らかにした.以下に主な検討項目と成果を示す. 1.アルミニウムキノリン錯体Al_<q3>の磁気共鳴測定 有機ELデバイスの強磁性陰極からのスピン注入効果を検討するために,陰極と発光層との間に生じる相互作用を評価した.試料として,真空蒸着法により強磁性金属(Fe)の薄膜上に電界発光分子の一つであるアルミニウムキノリン錯体Al_<q3>を成膜した.また,FeとAl_<q3>の間にアルミ酸化膜(Al-O膜)を有する試料も作製した.それぞれの試料に対する磁気共鳴測定の結果,強磁性陰極から有機ELデバイスの発光層へ効率良くスピン注入を行うために,磁性陰極と発光層を接触させるのではなく,磁性陰極と発光層の間にAl-O膜を設け,トンネル過程によるスピン注入が必要であることがわかった. 2.有機ELデバイスのスピン偏極発光測定 有機ELデバイスの強磁性陰極からのスピン注入効果を検討するために,強磁性金属の一つであるFeおよび,非磁性金属の一つであるAlを陰極とする有機ELデバイスを作製し,その発光のスピン偏極度を室温で測定した.Fe陰極デバイスからの発光においてスピン偏極度が観測された.その磁場に対する変化はFe陰極の磁化過程を反映していた.すなわち室温で強磁性陰極から有機ELデバイスへのスピン注入に伴うスピン偏極発光を初めて観測することに成功した.
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Research Products
(1 results)