2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J10584
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊木 秀和 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | バイオセンサー / 高分子交互累積膜 / 透過制限膜 / 酵素累積膜 |
Research Abstract |
キサンチンはプリン体の中間代謝産物であり、キサンチンオキシダーゼ(XOx)によって尿酸に代謝される。そのためXOxを用いた過酸化水素検出電流測定型センサでは、酵素反応によって生成する尿酸が測定の妨げとなりキサンチンの測定が困難である。そこで本研究では高分子交互累積膜法を用いた過酸化水素選択透過膜および酵素累積膜を組み合わせ選択的にキサンチンが測定可能なセンサを作製した。 過酸化水素選択透過膜には、以前作製したポリアリルアミン(PAA)とポリビニル硫酸(PVS)による交互累積膜を用いた。また、XOxは等電点が4.0であるためpHが中性付近では負の電荷を持つ。そこでPAAなどの中性溶液中で正の電荷を有するポリマーとXOxを過酸化水素選択透過膜上に作製しキサンチンに対する電流応答を測定し酵素膜の活性を評価した。 作製したPt/(PAA/PVS)_2(PAA/XOx)_nは積層操作ごとに0.3mMとなるように測定溶液中にキサンチンを添加して得られた応答電流を記録した。応答電流はキサンチンを加えることで増加したが、積層操作回数を増加させても応答電流の増加は観察されなかった。またキサンチン添加後、応答が定常状態に達するまで約25分かかった。これらはPAA/XOx膜が密なため膜内部へキサンチンが到達できないためと考えられる。そこで作製した累積膜の膜透過性が高くなると考えられるポリエチレンイミン(PEI)とポリジアリルジメチルアミン(PDDA)をPAAの替わりに用いて酵素膜を作製した。PEIとXOxで作製した酵素膜はPAAと同様に積層操作回数に応じた応答電流の増加は観察されなかったが、PDDAとXOxで作製した酵素膜では積層操作回数の応じた応答電流の増加が見られた。また、操作回数を10回繰り返すことで健常人におけるキサンチンの血中濃度まで汗分測定可能なセンサが作製できることが示唆された。
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