2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J10584
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊木 秀和 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バイオセンサー / 高分子交互累積膜 / 透過制限膜 / 酵素累積膜 |
Research Abstract |
本研究で用いる高分子交互累積膜法は、反対電荷を有する高分子電解質問に働く静電的相互作用を利用し累積膜を作製する方法である。またウリカーゼ(UOx)は等量点が4.6であり、実験条件下(pH8.5)では負に帯電している。そのため、ポリエチレンイミン(PEI)などの正電荷を有する高分子と累積膜を作製できると考えられる。また、PEIは分岐状高分子であり累積膜としたとき、基質の膜透過性が高いと考えられる。そこで、PEIとUOxによる累積膜を電極上に固定化し、酵素反応で生成する過酸化水素の酸化電流の変化を測定することで尿酸の膜透過性を検討した。 作製した(UOx/PEI)_nUOx膜は、積層操作毎に濃度が0.1mMとなるように緩衝液中に尿酸を添加し得られた応答電流を記録した。応答電流は尿酸を加えることですみやかに増加し、約3秒程度で定常状態に達した。また、累積層数の増大による応答の遅延も観察されなかった。これらのことからUOx累積膜中で尿酸や過酸化水素が迅速に拡散していることが示唆された。次にPEI/UOx累積膜を水晶振動子上に作製し、周波数変化を測定することでUOxの固定化量を評価した。積層操作を操り返すことにより、PEI、UOx共に一定の周波数の減少が親察され、UOxを5層積層した時の一層当たりの表面被覆率(UOx)は20.6%となり、比較的低密度でUOxが固定化されている事が示唆された。さらに、UOx/PEI膜修飾電極の検量線を作製したところ、UOx層数が増加するに従い応答電流も増加し、応答濃度範囲には大きな違いは観察されなかった。これらの結果から、UOx/PEI膜は膜厚が増大してもUAに対する透過性が減少していないことが示唆された。
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