2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J10598
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 守人 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | genetic variation / mitochondrial DNA / Internal transcribed spacer / microsatellite DNA / population structure / Euhadra peliomphala / introgression / hybridization |
Research Abstract |
当初の計画に沿い,マイクロサテライトDNA,ITS,mtDNA,生態実験による結果を順調に集めた.結果の一部は,進化生物学上の重要な雑誌Biological Journal of the Linnean Societyにて印刷中である.また,伊豆半島に分布するミスジマイマイとヒタチマイマイの交雑起源であると考えられる集団についても解析が進んでおり,同時に進めている同属他種との系統解析も併せることにより,複雑な種間関係が明らかになってきた.以下に概要を述べる. 研究1(印刷中,裏面に記載) 伊豆諸島に分布するミスジマイマイは,島ごとに多様な色彩変異をもつ.一方これらの個体群について,ニュートラルマーカーであるmt16SrRNAの変異を研究したところ,島間,島内の変異がほとんど存在しなかった.そこで,殻の模様(色帯の数,殻の地色)といった客観的な観察項目を用い,その多様度と遺伝子の多様度とを比較した.その結果,島個体群の殻色彩の多様度は本土よりも大きく,mt16Sの多様度は本土と比べ小さいことが分かった.従って,伊豆諸島の個体群には強い創始者効果もしくは遺伝的浮動が働いているが,それを上回る頻度依存的なメカニズム,捕食圧や種間競争の軽減による表現型の多様度の増大が起こっていると考えられる. 研究2 伊豆半島中部には表現型はミスジマイマイでありハプロタイプ(mt16S)は分布域の異なる他種ヒタチマイマイ型である集団が存在する.核ITSで解析した結果,これらの個体はミスジマイマイとヒタチマイマイの遺伝子型をヘテロで有していた.ミトコンドリアと表現型の不一致が観られる場合,遺伝子浸透と祖先多型の両方の可能性があるが,本研究の場合は遺伝子浸透であることを明らかにした.陸貝の個体密度が大きい伊豆半島でこれらの現象が発見されたことは,交雑とそれに伴う遺伝子浸透の詳細なプロセスを解明する大きなチャンスである.
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Research Products
(1 results)