2002 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンカーバイド系複合材料の照射下健全性に及ぼす核変換ヘリウム・水素の影響
Project/Area Number |
02J10667
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野上 修平 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 核融合炉 / シリコンカーバイド / 核変換ヘリウム / ヘリウムバブル / ヘリウム放出 / 結晶粒寸法 / 弾性率 |
Research Abstract |
核融合炉用構造材料として期待されているシリコンカーバイド(SiC)繊維強化SiCマトリックス複合材料(SiC/SiC複合材料)におけるはじき出し損傷による機械的特性変化に及ぼす核変換ヘリウムの影響について,複合材料の各要素材料(繊維,マトリックス,界面炭素材料)に及ぼすそれらの影響の定量的評価を行うとともにその機構を明らかにし,従来の研究では得られていない以下のような重要な知見を得た. 1.SiC結晶粒寸法が約200nm以上のSiCマトリックス中では照射温度1000℃以上においてヘリウムバブルが形成したが,約20nm以下のSiC繊維中ではヘリウムバブルが形成しないことが明らかになった.SiC繊維からのヘリウム放出温度はSiCマトリックスからのそれに比べて約150℃高かったため,SiC繊維中では,空孔型欠陥が粒界において優先的に消滅してしまい,ヘリウムを捕獲しないために,ヘリウムの放出温度は比較的高くなり,ヘリウムバブルが形成しなかったという機構が見出された. 2.SiC繊維およびSiCマトリックスの弾性率は,(1)照射温度100℃以下では非晶質化を原因として最大50%程度低下し,(2)照射温度100℃から1000℃までは格子欠陥の形成により低照射温度ほど低下率が大きく,(3)照射温度1000℃以上でははじき出し損傷による変化はほとんどないが,ヘリウムバブルの形成により10%以上低下することがはじめて明らかになった. 3.界面炭素中のヘリウムは約150℃という低い温度において放出してしまうため,はじき出し損傷による界面炭素材料の弾性率変化に及ぼすヘリウムの影響が小さいことが見出された. 4.SiC/SiC複合材料の核融合炉における上限使用温度は1000℃以上が期待されているため,以上の知見からヘリウムバブルの形成による機械的特性劣化の抑制が重要であるが,SiC結晶粒寸法を約20nm以下に制御することにより,ヘリウムバブル形成の抑制が可能であるという材料開発指針を初めて見出した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 野上 修平: "Indentation Fracture Toughness of Neutron Irradiated Silicon Carbide"Journal of Nuclear Materials. 307-311. 321-325 (2003)
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[Publications] 野上 修平: "Analysis of Possible Deformation Mechanisms in Helium-Ion Irradiated SiC"Journal of Nuclear Materials. 307-311. 336-340 (2003)